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智囊 / 武案・劉錡

劉錡順昌之戰,戒甲士帶一竹筒,其中實以煮豆,入陣則割棄竹筒,狼籍其豆於下。虜馬飢,聞豆香,低頭食之。又多為竹筒所滾,腳下不得地,以故士馬俱斃。〔述〕畢再遇嘗引敵與戰,且前且卻,至於數四。視日已晚,乃以香料煮黑豆布地上,復前搏戰,佯敗走,敵乘勝追逐。其馬已飢,聞豆香,就食,鞭之不前。我師反攻之,遂大勝。

新字:劉錡順昌之戦,戒甲士帯一竹筒,其中実以煮豆,入陣則割棄竹筒,狼籍其豆於下。虜馬飢,聞豆香,低頭食之。又多為竹筒所滾,脚下不得地,以故士馬倶斃。〔述〕畢再遇嘗引敵与戦,且前且却,至於数四。視日已晩,乃以香料煮黒豆布地上,復前搏戦,佯敗走,敵乗勝追逐。其馬已飢,聞豆香,就食,鞭之不前。我師反攻之,遂大勝。

書き下し

劉錡の順昌の戦、甲士に戒めて一つの竹筒を帯びしむ。其の中に煮豆を実たし、陣に入れば則ち竹筒を割き棄て、狼藉として其の豆を下に散らす。虜の馬飢え、豆の香を聞きて、頭を低れて之を食う。又た多く竹筒の為に滾され、脚下に地を得ず。故を以て士馬倶に斃る。〔述〕畢再遇は嘗て敵を引きて与に戦い、且つ前み且つ却くこと、数四に至る。日の已に晩るるを視て、乃ち香料もて黒豆を煮て地上に布く。復た前みて搏戦し、佯り敗走す。敵は勝ちに乗じて追逐す。其の馬已に飢え、豆の香を聞きて、就きて食う。之を鞭うちても前まず。我が師反って之を攻め、遂に大いに勝つ。

現代語訳

劉錡は順昌の戦いで、兵士に竹の筒を一つずつ帯びさせた。その中に煮た豆を詰め、陣に入ると竹の筒を割って捨て、豆をばらまいた。敵の馬は飢えており、豆の香りをかぎつけて、頭を下げて食べた。また多くの竹筒に足を取られて転がり、足の下に地を踏めなかった。このため、兵も馬もともに倒れた。〔述〕畢再遇はかつて敵を誘い出して戦い、進んだり退いたりを何度も繰り返した。日がすでに暮れかかったのを見て、香料で黒豆を煮て地上にまいた。再び進んで激しく戦い、敗走するふりをした。敵は勝ちに乗じて追いかけた。その馬はすでに飢えており、豆の香りをかぐと、近づいて食べた。鞭で打っても進まなかった。我が軍は反転してこれを攻め、ついに大勝した。

解説

馬は鞭では動かせても、飢えと香りの誘惑には勝てません。劉錡は煮豆を詰めた竹筒を使い、畢再遇は香料で黒豆を煮て、敵の騎馬を足止めしました。人間相手ではなく、敵が頼る馬の生理に働きかけるところがこの二例の共通点です。戦う相手の戦力を支える環境や条件、つまり補給、生理、習性をよく観察すれば、正面を避けた手が見えてきます。現代のビジネスでも、競合の顧客や販路、仕入れなど、相手が頼る土台に着目する視点は、力を使わずに優位を取る方法として参考になります。

この章句が説くこと

順昌煮豆竹筒飢えた馬佯敗相手の土台

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