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智囊 / 武案・楊素・馬隆・呂蒙

楊素襲蒲城,夜至河際,收商賈船,得數百艘,置草其中,踐之無聲,遂銜枚而濟。馬隆討樹機能。虜兵勁,皆負鐵鎧。隆於夾道累磁石。賊行不得前,而隆卒悉被犀甲,無所留礙,遂大破之。周瑜使甘寧前據夷陵。曹仁分眾圍寧,寧困急請救。蒙說瑜分遣三百人,柴斷險道,賊走,可得其馬。瑜從之,軍到夷陵,即日交戰,所殺過半。敵夜遁去,行遇柴道,騎皆舍馬步走。兵追蹙之,獲馬三百匹。

新字:楊素襲蒲城,夜至河際,収商賈船,得数百艘,置草其中,践之無声,遂銜枚而済。馬隆討樹機能。虜兵勁,皆負鉄鎧。隆於夾道累磁石。賊行不得前,而隆卒悉被犀甲,無所留礙,遂大破之。周瑜使甘寧前拠夷陵。曹仁分衆囲寧,寧困急請救。蒙説瑜分遣三百人,柴断険道,賊走,可得其馬。瑜従之,軍到夷陵,即日交戦,所殺過半。敵夜遁去,行遇柴道,騎皆舎馬歩走。兵追蹙之,獲馬三百匹。

書き下し

楊素、蒲城を襲う。夜に河際に至り、商賈の船を収め、数百艘を得て、草を其の中に置き、之を踐むも声無し。遂に枚を銜みて濟る。馬隆、樹機能を討つ。虜兵は勁く、皆な鉄鎧を負う。隆、夾道に磁石を累ぬ。賊は行きて前むを得ず。而して隆の卒は悉く犀甲を被り、留礙する所無く、遂に大いに之を破る。周瑜、甘寧をして前みて夷陵に拠らしむ。曹仁、衆を分かちて寧を囲み、寧困急して救いを請う。蒙、瑜に説きて三百人を分遣し、柴もて険道を断たしむ。賊走れば馬を得べし。瑜之に従う。軍夷陵に到り、即日交戦し、殺す所は半ばを過ぐ。敵夜に遁げ去り、行きて柴道に遇い、騎は皆な馬を舎てて歩み走る。兵之を追蹙し、馬三百匹を獲たり。

現代語訳

楊素は蒲城を襲った。夜に河のほとりに着き、商人の船を集めて数百艘を得、その中に草を敷いて、踏んでも音が出ないようにした。そして枚(声を出さないための木片)をくわえて渡った。馬隆は樹機能を討った。敵の兵は強く、みな鉄の鎧を着ていた。馬隆は道の両側に磁石を積んだ。敵は進めなくなった。一方、馬隆の兵はみな犀の革の鎧を着ていたので妨げられず、ついに大いに破った。周瑜は甘寧を先に派遣して夷陵を拠点にさせた。曹仁は兵を分けて甘寧を囲み、甘寧は追い詰められて救いを求めた。呂蒙は周瑜に説いて、三百人を分けて遣わし、柴で険しい道をふさがせた。敵が逃げれば馬を得られるはずだった。周瑜はこれに従った。軍が夷陵に着き、その日に戦い、討った敵は半ばを超えた。敵は夜に逃げ去り、行く先で柴の道に出会い、騎兵はみな馬を捨てて徒歩で逃げた。兵が追い詰めて、馬三百頭を得た。

解説

三つの例は、道具や素材の特性を使って敵に不利を負わせる工夫です。楊素は船に草を敷いて音を消し、馬隆は鉄の鎧を着た敵を磁石で止め、呂蒙は柴の道で騎兵を馬から降ろして捕らえました。いずれも、相手の強みである鉄の鎧や騎馬を、むしろ弱点に変える発想です。力で勝つのではなく、相手が頼むものの裏側を使います。現代でも、競合の強みは同時に弱みになる場合があります。大規模な組織は小回りが利かない、高価な設備は転用が難しいなど、強みが生む制約を見極めて戦場を選ぶと、少ない資源で優位に立てます。

この章句が説くこと

磁石犀甲柴道枚を銜む強みの裏返し戦略

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