智囊 / 武案・李綱
靖康間,獻車制者甚眾,獨總制官張行申者可取。其造車之法:用兩竿雙輪,推竿則輪轉;兩竿之間,以橫木筦之,設架以載巨弩;其上施皮籬以捍矢石,繪神獸之象,弩矢發於口中,而竅其目以望敵;其下施甲裙以衛人足;其前施槍刃兩重,重各四枚,上長而下短,長者以御人也,短者以御馬也;其兩旁以鐵為鉤索,止則聯屬以為營。其出戰之法:則每車用步卒二十五人,四人推竿以運車,一人登車望敵以發弩矢,二十人執牌、弓弩、長槍、斬馬刀,列車兩旁。重行,行五人,凡遇敵,則牌居前,弓弩次之,槍刀又次之。敵在百步內,則偃牌,弓弩間發以射之;既逼近,則弓弩退後,槍刀進前,槍以刺人,而刀以斬馬足;賊退,則車徒鼓噪,相聯以進,及險乃止。
新字:靖康間,献車制者甚衆,独総制官張行申者可取。其造車之法:用両竿双輪,推竿則輪転;両竿之間,以横木筦之,設架以載巨弩;其上施皮籬以捍矢石,絵神獣之象,弩矢発於口中,而竅其目以望敵;其下施甲裙以衛人足;其前施槍刃両重,重各四枚,上長而下短,長者以御人也,短者以御馬也;其両旁以鉄為鉤索,止則聯属以為営。其出戦之法:則毎車用歩卒二十五人,四人推竿以運車,一人登車望敵以発弩矢,二十人執牌、弓弩、長槍、斬馬刀,列車両旁。重行,行五人,凡遇敵,則牌居前,弓弩次之,槍刀又次之。敵在百歩内,則偃牌,弓弩間発以射之;既逼近,則弓弩退後,槍刀進前,槍以刺人,而刀以斬馬足;賊退,則車徒鼓噪,相聯以進,及険乃止。
書き下し
靖康の間、車制を献ずる者甚だ衆し。独り総制官張行申の者のみ取るべし。其の車を造るの法は、両竿双輪を用い、竿を推せば輪転ず。両竿の間は、横木を以て之を筦ね、架を設けて巨弩を載す。其の上には皮籬を施して以て矢石を捍ぎ、神獣の象を絵き、弩矢は口中より発し、其の目に竅して以て敵を望む。其の下には甲裙を施して以て人の足を衛る。其の前には槍刃を両重に施し、重ごとに各々四枚、上は長く下は短し。長き者は以て人を御ぎ、短き者は以て馬を御ぐなり。其の両旁には鉄を以て鉤索を為り、止まれば則ち聯属して以て営と為す。其の出戦の法は、則ち毎車に歩卒二十五人を用い、四人は竿を推して以て車を運らし、一人は車に登りて敵を望み以て弩矢を発し、二十人は牌・弓弩・長槍・斬馬刀を執りて、車の両旁に列ぶ。重行、行ごとに五人。凡そ敵に遇えば、則ち牌は前に居り、弓弩は之に次ぎ、槍刀は又た之に次ぐ。敵、百歩の内に在れば、則ち牌を偃せ、弓弩は間々発して以て之を射る。既に逼近すれば、則ち弓弩は退いて後ろにし、槍刀は進んで前にす。槍は以て人を刺し、刀は以て馬の足を斬る。賊退けば、則ち車徒は鼓噪し、相い聯なりて以て進み、険に及べば乃ち止まる。
現代語訳
靖康年間、戦車の制度を献上する者はたいへん多かった。ただ総制官の張行申のものだけが採るべきものだった。その車の造り方は、二本の竿と二つの車輪を用い、竿を押せば輪が回る。二本の竿の間は横木でつなぎ、架台を設けて大きな弩を載せる。上には皮の囲いを施して矢や石を防ぎ、神獣の姿を描き、弩の矢は口の中から発射し、目の部分に穴をあけて敵を見渡す。下には鎧のすそを付けて兵の足を守る。前には槍の刃を二重に付け、それぞれ四枚で、上は長く下は短い。長い方は人を防ぎ、短い方は馬を防ぐ。左右には鉄の鉤と鎖を付け、止まれば連ねて営とする。出戦の方法は、一車ごとに歩兵二十五人を用い、四人は竿を押して車を動かし、一人は車に登って敵を見て弩の矢を放ち、二十人は盾・弓弩・長槍・斬馬刀を持って車の左右に並ぶ。列は何重にもなり、一列に五人。敵に遇えば、盾が前に出て、弓弩がその次、槍と刀がさらにその次に並ぶ。敵が百歩以内にいれば、盾を倒し、弓弩が交互に射る。すでに迫れば、弓弩は後ろに退き、槍と刀が前に出る。槍は人を刺し、刀は馬の足を斬る。賊が退けば、車の兵は鼓を鳴らして叫び、連なって進み、険しい所に及んで止まる。
解説
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