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智囊 / 詭道・裴行儉

調露元年,大總管裴行儉討突厥。先是餽糧數為虜鈔,行儉因詐為糧車三百乘,車伏壯士五輩,齎陌刀勁弩,以羸兵挽進,又伏精兵踵其後。虜果掠車,羸兵走險,賊驅就水草,解鞍牧馬,方取糧車中。而壯士突出,伏兵至,殺獲幾盡,自是糧車無敢近者。

新字:調露元年,大総管裴行倹討突厥。先是餽糧数為虜鈔,行倹因詐為糧車三百乗,車伏壮士五輩,齎陌刀勁弩,以羸兵挽進,又伏精兵踵其後。虜果掠車,羸兵走険,賊駆就水草,解鞍牧馬,方取糧車中。而壮士突出,伏兵至,殺獲幾尽,自是糧車無敢近者。

書き下し

調露元年、大総管裴行倹、突厥を討つ。是れより先、餽糧は数々虜に鈔めらる。行倹、因りて詐りて糧車三百乗を為り、車ごとに壮士五輩を伏せ、陌刀・勁弩を齎し、羸兵を以て挽き進ましめ、又た精兵を伏せて其の後に踵がしむ。虜、果たして車を掠め、羸兵は険に走る。賊、駆りて水草に就き、鞍を解き馬を牧し、方に糧車の中より取る。而して壮士突き出で、伏兵至りて、殺獲すること幾ど尽くす。是れより糧車に敢えて近づく者無し。

現代語訳

調露元年、大総管の裴行倹が突厥を討った。これより前、兵糧の輸送がたびたび敵に奪われていた。行倹は偽って兵糧車三百台を仕立て、各車に屈強な兵五人を伏せ、陌刀と強い弩を持たせ、弱そうな兵に車を引かせて進ませ、さらに精兵を伏せて後ろにつけた。敵は果たして車を奪い、弱兵は険しい所へ逃げた。賊は車を水草のある所へ追い立て、鞍を外して馬を放し、ちょうど兵糧車の中から物を取り出そうとした。そこへ屈強な兵が飛び出し、伏兵も到着して、ほとんど殺し尽くすか捕らえた。それ以来、兵糧車に近づく敵は一人もいなくなった。

解説

繰り返し狙われる弱点を、逆に罠に仕立てた逆転の発想です。兵糧の輸送が襲われるのは弱点ですが、裴行倹はその習性を読み、本物に見える車の中に兵を入れて待ち受けました。弱そうな兵に引かせたのも、油断を誘うための演出です。結果として、敵は車に近づかなくなり、以後の輸送の安全も確保されました。管理職が学べるのは、繰り返し起きる被害は、相手の行動パターンが読める好機だという点です。事故やクレームの再発を単に防ぐだけでなく、その型を分析し、構造そのものを変える一手を考える価値があります。

この章句が説くこと

詐為糧車車伏壮士羸兵挽進糧車無敢近者危機管理判断

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