導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

智囊 / 詭道・勾踐・柴紹

吳闔閭伐越,越子勾踐御之,陳於槜李。勾踐患吳之整也,使死士再禽焉,不動。使罪人三行,屬劍於頸,而辭曰:「二君有治,臣奸旗鼓,不敏於君之行前,不敢逃刑,敢歸死!」遂自剄也。吳師屬目,越子因而伐之,大敗之。葉谷渾寇洮、岷二州。遣柴紹救之,為其所圍。虜乘高射之,矢如雨下,紹遣人彈胡琵琶,二女子對舞。虜怪之,相與聚觀。紹察其無備,潛遣精騎,出虜陣後,擊之,虜眾大潰。〔評〕罪人勝如死士,女子勝如勁卒,是皆創奇設誘,得未曾有。

新字:呉闔閭伐越,越子勾践御之,陳於槜李。勾践患呉之整也,使死士再禽焉,不動。使罪人三行,属剣於頸,而辞曰:「二君有治,臣奸旗鼓,不敏於君之行前,不敢逃刑,敢帰死!」遂自剄也。呉師属目,越子因而伐之,大敗之。葉谷渾寇洮、岷二州。遣柴紹救之,為其所囲。虜乗高射之,矢如雨下,紹遣人弾胡琵琶,二女子対舞。虜怪之,相与聚観。紹察其無備,潜遣精騎,出虜陣後,撃之,虜衆大潰。〔評〕罪人勝如死士,女子勝如勁卒,是皆創奇設誘,得未曽有。

書き下し

呉の闔閭、越を伐つ。越子勾践、之を御ぎ、槜李に陣す。勾践、呉の整えるを患え、死士をして再び禽えしむるも、動かず。罪人をして三行せしめ、剣を頸に属けて辞して曰く、「二君に治むる有り。臣、旗鼓を奸し、君の行前に敏ならず。敢えて刑を逃れず、敢えて帰して死せん」と。遂に自ら剄す。呉師、目を属す。越子因りて之を伐ち、大いに之を敗る。葉谷渾、洮・岷の二州に寇す。柴紹を遣わして之を救わしむるも、其の囲む所と為る。虜、高きに乗じて之を射、矢雨の如く下る。紹、人を遣わして胡琵琶を弾かしめ、二女子をして対して舞わしむ。虜、之を怪しみ、相い与に聚まり観る。紹、其の備え無きを察し、潜かに精騎を遣わし、虜の陣の後ろに出で、之を撃つ。虜衆大いに潰ゆ。〔評〕罪人は死士に勝り、女子は勁卒に勝る。是れ皆な奇を創り誘いを設け、未曽有を得たるなり。

現代語訳

呉王闔閭が越を攻め、越王勾践がこれを迎え撃って槜李に陣を敷いた。勾践は呉軍の陣がよく整っているのを心配し、決死の兵に二度突撃させたが、呉の陣は動かなかった。そこで罪人たちを三列に並べ、剣を自分の首に当てさせて言わせた。「二人の君主が国を治めておられるのに、われらは軍の旗や太鼓の規律を犯し、君のお供の前で働けませんでした。刑を逃れる気はなく、ここに戻って死にます。」そう言って自ら首をはねた。呉軍は目を奪われて見入った。そこを越王が討ち、呉を大いに破った。葉谷渾が洮・岷の二州に侵入した。唐は柴紹を派遣して救わせたが、紹は敵に囲まれた。敵は高所から矢を雨のように射かけた。紹は人に胡琵琶を弾かせ、二人の女に向かい合って舞わせた。敵はこれを怪しみ、みな集まって見物した。紹は敵に備えがないのを見てとり、ひそかに精鋭の騎兵を派遣して敵陣の背後に出させ、攻撃した。敵軍は大いに崩れた。〔評〕罪人は決死の兵に勝り、女は強兵に勝る。これらはどれも珍しい手を創り、誘いを設けて、前例のない成果を得たのである。

解説

動かない相手を動かすには、力ではなく注意を奪う手が効くという二つの例です。勾践は死士の突撃で崩せなかった陣を、罪人の自刃という異様な光景で崩しました。柴紹は包囲された絶体絶命の場面で、音楽と舞いという戦と無縁のものを持ち出し、敵の目をそらせました。馮夢龍の評のとおり、罪人や女子といった本来は戦力に数えない者が、使い方次第で精兵以上の働きをしています。現代の組織でも、正面からの努力が通じない局面では、人の配置と見せ方を変える発想が突破口になります。ただし勾践の策は命を捨てさせる点で、そのまま真似てよいものではありません。

この章句が説くこと

死士胡琵琶創奇設誘罪人勝如死士判断人材登用

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る