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智囊 / 詭道・呂蒙・馬隆

蒙人據城,盡得羽及將士家屬,皆撫慰。有取民一笠以覆官鎧者,其人係蒙鄉里,垂涕斬之。於是軍中震栗,道不拾遺,蒙旦暮使親近存恤耆老,問所不足,病者給醫藥,飢寒者賜衣糧,府藏財寶,皆封閉以待權至。羽還,在道路數使人與蒙相問,蒙輒厚遇其使,週遊城中,家家致問,或手書示信,使還,私相參信,咸知家門無恙,見待過於平時,故吏士無鬥心,羽遂成擒。太康初,南虜成奚每為邊患,西平太守馬隆帥軍討之。虜據險拒守。隆令軍士皆負農器,將若田者,虜以隆無征討意,御眾稍怠。隆因其無備,進兵擊破之,畢隆之政,不敢為寇。

新字:蒙人拠城,尽得羽及将士家属,皆撫慰。有取民一笠以覆官鎧者,其人係蒙郷里,垂涕斬之。於是軍中震栗,道不拾遺,蒙旦暮使親近存恤耆老,問所不足,病者給医薬,飢寒者賜衣糧,府蔵財宝,皆封閉以待権至。羽還,在道路数使人与蒙相問,蒙輒厚遇其使,週遊城中,家家致問,或手書示信,使還,私相参信,咸知家門無恙,見待過於平時,故吏士無鬥心,羽遂成擒。太康初,南虜成奚毎為辺患,西平太守馬隆帥軍討之。虜拠険拒守。隆令軍士皆負農器,将若田者,虜以隆無征討意,御衆稍怠。隆因其無備,進兵撃破之,畢隆之政,不敢為寇。

書き下し

蒙入りて城に拠り、尽く羽及び将士の家属を得て、皆撫慰す。民の一笠を取りて以て官の鎧を覆う者有り。其の人は蒙の郷里に係るも、涕を垂れてこれを斬る。是に於いて軍中震え栗れ、道に遺ちたるを拾わず。蒙は旦暮に親近をして耆老を存恤せしめ、足らざる所を問い、病む者には医薬を給し、飢え寒ゆる者には衣糧を賜い、府蔵の財宝は、皆封閉して以て権の至るを待つ。羽還り、道路に在りて数々人をして蒙と相い問わしむ。蒙は輒ち其の使を厚く遇し、城中を週遊せしめ、家家に致問し、或いは手書して信を示す。使い還りて、私かに相い参信し、咸な家門恙無く、待たるること平時に過ぐるを知る。故に吏士に鬥心無く、羽遂に擒と成る。太康の初め、南虜の成奚、毎に辺患と為る。西平太守の馬隆、軍を帥いてこれを討つ。虜は険に拠りて拒守す。隆、軍士をして皆農器を負わしめ、将に田する者の若くせんとす。虜は隆に征討の意無しと以い、衆を御すること稍々怠る。隆、其の備え無きに因りて兵を進めてこれを撃破し、隆の政を畢るまで、敢えて寇を為さず。

現代語訳

呂蒙は城に入って拠り、関羽と将兵の家族をことごとく手に入れたが、皆をいたわり慰めた。民の笠を一つ取って官の鎧を覆った者がいた。その者は呂蒙の同郷だったが、呂蒙は涙を流しながらこれを斬った。これで軍中は震え上がり、道に落ちた物も拾わなくなった。呂蒙は朝夕に側近に老人たちを見舞わせ、足りないものを尋ね、病人には医薬を与え、飢えや寒さに苦しむ者には衣と食料を与え、役所の蔵の財宝は皆封印して孫権の到着を待った。関羽が戻る途中、何度も人を使いにやって呂蒙に様子を尋ねさせた。呂蒙はそのたびに使者を厚くもてなし、城中を巡らせ、家々に挨拶させ、時には手紙を書いて信頼を示させた。使者が帰ると、ひそかに互いに確かめ合い、皆自分の家に変わりがなく、平時以上に手厚く扱われていることを知った。だから官吏や兵士に戦う気持ちがなくなり、関羽はついに捕らえられた。太康の初め、南方の異民族の成奚はいつも辺境の災いとなっていた。西平太守の馬隆が軍を率いてこれを討った。敵は険しい地形に拠って守っていた。馬隆は兵士に皆農具を背負わせ、田を耕そうとするかのように見せた。敵は馬隆に討伐の意志がないと思い、軍勢の統率を次第に怠った。馬隆はその備えのない隙に進軍して撃ち破り、馬隆の統治が終わるまで、敵は二度と侵略しなかった。

解説

呂蒙は城を取ったあとの統治で、関羽の兵の戦意を奪いました。同郷の者でも民の笠一つを取れば涙を流して斬り、一方で老人や病人には手厚く接し、関羽の使者にも家族の無事を確かめさせています。軍規の厳しさと思いやりの両方が揃っていたため、敵軍の側も戦う理由を失いました。現代の管理職は、規律を守る厳格さと、人を大切に扱う配慮を、身内に偏らず同じ基準で運用すれば信頼が生まれると読めます。後半の馬隆の農具の策も、攻める意図を隠して敵の気を緩めた例です。ただ、情による寛大さだけでなく、例外を許さない線引きがあって初めて、規律は機能します。

この章句が説くこと

垂涕斬之道不拾遺存恤耆老家門無恙規律信用

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