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智囊 / 制勝・陶魯

〔述評〕今塞下徵兵,動數十萬,其中豈無三百人哉!誰為魯者?即有魯,誰為用魯者?噫!王弇州云:「魯機明內運,而神觀不足,縣事多不治。或從令、尉列見上官,時時昏睡,雖督榜不恤也。韓公威嚴擬王者,三司長吏見,長跪白事,懾悚失措。魯事之,若不為意,誠異人哉!」使在今日,先以不治事、不敬上官罷去久矣,孰知此丞之有用如是乎?

新字:〔述評〕今塞下徴兵,動数十万,其中豈無三百人哉!誰為魯者?即有魯,誰為用魯者?噫!王弇州云:「魯機明内運,而神観不足,県事多不治。或従令、尉列見上官,時時昏睡,雖督榜不恤也。韓公威厳擬王者,三司長吏見,長跪白事,懾悚失措。魯事之,若不為意,誠異人哉!」使在今日,先以不治事、不敬上官罷去久矣,孰知此丞之有用如是乎?

書き下し

〔述評〕今、塞下に兵を徵すること、動もすれば數十萬、其の中に豈に三百人無からんや。誰か魯たる者ぞ。即ち魯有りとも、誰か魯を用うる者ぞ。噫。王弇州云う、「魯は機明らかにして內に運らし、而れども神觀足らず、縣の事は多く治まらず。或いは令、尉に從いて上官に列見するに、時々昏睡し、督榜すと雖も恤えず。韓公は威嚴、王者に擬えられ、三司の長吏見ゆるに、長跪して事を白し、懾悚して措を失う。魯の之に事うるや、意と為さざるが若し。誠に異人なるかな」と。使し今日に在らば、先ず事を治めず、上官を敬わざるを以て罷め去られること久しからん。孰か此の丞の用有ること是くの如きを知らんや。

現代語訳

〔述評〕今、辺境の守りのために兵を徴発すると、ともすれば数十万にもなります。その中に三百人の精鋭がいないはずがありません。しかし誰が陶魯のような人物でしょうか。たとえ陶魯のような人がいても、誰が陶魯を用いる人でしょうか。ああ。王弇州は言っています。「陶魯は頭の働きが鋭く内に思いを巡らすが、風采や見た目には力がなく、県の政務はたいてい整っていなかった。県令や県尉に連れられて上官に謁見するとき、時々居眠りをして、督促や叱責を受けても気にしなかった。韓公は威厳が王者にもたとえられるほどで、三司の長官たちが面会に来ても、ひざまずいて報告し、恐れおののいて手の置き所もないほどだった。その韓公に仕える陶魯は、まるで気にかけていないようだった。まことに変わった人物だ」。もし今日の世にいたなら、まず仕事をしない、上官を敬わないという理由で、とっくに罷免されていたでしょう。誰がこの県丞にこのような使い道があることを知り得たでしょうか。

解説

馮夢龍の評は、人材は人数の中にいても、見つけて使う者がいなければ生きないという点を突いています。陶魯は上官の前で居眠りし、県の政務も整わない、評判の悪い変わり者でした。しかし、一つの大事に際しては、威厳ある総督にも臆せず自分の力を言い切りました。現代でも、日常の評価では目立たない人が、特定の局面でとびぬけた力を発揮することがあります。評価の物差しを一つにせず、欠点に隠れた専門性や胆力を見抜く目を持ち、適所に当てる管理職の姿勢が問われています。人を見つける者がいなければ、才は埋もれたままです。

この章句が説くこと

三百人用いる者昏睡異人人材登用適材適所

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