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智囊 / 制勝・鄧艾

鄧艾與郭淮合兵以拒姜維,維退,淮因西擊羌。艾曰:「賊去未遠,或能復還,宜分諸軍以備不虞。」於是留艾屯白水北。三日,維遣廖化自水南向艾結營。艾謂諸將曰:「維今卒還,吾軍少,法當來渡,而不作橋,此維使化持吾,今吾不得動;維必自東襲取洮城矣。」洮城在水北,去艾屯六十里。艾即夜潛軍,徑到洮城,維果來渡,而艾先至據城,得以不破。

新字:鄧艾与郭淮合兵以拒姜維,維退,淮因西撃羌。艾曰:「賊去未遠,或能復還,宜分諸軍以備不虞。」於是留艾屯白水北。三日,維遣廖化自水南向艾結営。艾謂諸将曰:「維今卒還,吾軍少,法当来渡,而不作橋,此維使化持吾,今吾不得動;維必自東襲取洮城矣。」洮城在水北,去艾屯六十里。艾即夜潜軍,径到洮城,維果来渡,而艾先至拠城,得以不破。

書き下し

鄧艾、郭淮と兵を合わせて以て姜維を拒ぐ。維退き、淮因りて西のかた羌を撃つ。艾曰く、「賊去ること未だ遠からず、或いは能く復た還らん。宜しく諸軍を分かちて以て不虞に備うべし」と。是に於いて艾を留めて白水の北に屯せしむ。三日にして、維廖化を遣わし、水南より艾に向かいて営を結ばしむ。艾諸将に謂いて曰く、「維今卒かに還る。吾が軍少なければ、法として当に来り渡るべし。而るに橋を作らず。此れ維が化をして吾を持せしめ、今吾をして動くを得ざらしむるなり。維は必ず自ら東して洮城を襲取せん」と。洮城は水北に在り、艾の屯を去ること六十里。艾即ち夜に軍を潜め、径ちに洮城に到る。維果たして来り渡るも、艾先に至りて城に拠り、以て破られざるを得たり。

現代語訳

鄧艾は郭淮と兵を合わせて姜維を防ぎました。姜維が退くと、郭淮はそのまま西へ向かって羌族を討ちました。鄧艾は言いました。「賊が去ってまだ遠くない。もしかするとまた戻ってくるかもしれない。軍を分けて不測の事態に備えるべきだ」。そこで鄧艾が白水の北に留まって駐屯しました。三日後、姜維は廖化を遣わし、川の南側から鄧艾に向かって陣を構えさせました。鄧艾は諸将に言いました。「姜維が急に戻ってきた。我が軍は少ないので、本来なら攻めて渡ってくるはずだ。それなのに橋を作らない。これは姜維が廖化に我々を釘付けにさせ、動けなくしているのだ。姜維は必ず自分で東へ回り、洮城を奇襲するだろう」。洮城は川の北にあり、鄧艾の陣から六十里の所です。鄧艾はその夜のうちにひそかに軍を動かし、まっすぐ洮城に着きました。姜維は果たして渡ってきましたが、鄧艾が先に着いて城に拠ったので、城は破られずに済みました。

解説

鄧艾は、敵が本来やるはずのことをやっていない点に違和感を覚え、そこから本当の狙いを読み取りました。川を挟んで陣を構えるだけで橋を作らないのは、攻める気がなく、こちらを足止めする囮だと見抜いたわけです。不自然な不在や、起きて当然のことが起きていないことは、有力な手がかりになります。現代の管理職にとっても、取引先や競合の予想外の沈黙、いつもの行動の欠落を、見過ごさずに読み解く姿勢が参考になります。そして察したら即座に動く、実行の速さも合わせて読むべき点です。

この章句が説くこと

不作橋鄧艾洮城姜維洞察不虞に備える

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