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智囊 / 靈變・顏真卿・李揆

安祿山反,破東都,遣段子光傳李𢜽,盧奕,蔣清首,以徇河北。真卿紿諸將曰:「吾素識𢜽等,其首皆非是。」乃斬子光而藏三首。李尚書揆素為盧杞所惡,用為入蕃會盟使。揆辭老,恐死道路,不能達命。帝惻然,杞曰:「和戎當擇練朝事者,非揆不可,揆行,則年少於揆者,後無所避矣。」邊批:佞口似是,揆不敢辭,揆至蕃。酋長曰:「聞唐有第一人李揆,公是否?」揆畏留,因紿之曰:「彼李揆安肯來耶?」

新字:安禄山反,破東都,遣段子光伝李𢜽,盧奕,蒋清首,以徇河北。真卿紿諸将曰:「吾素識𢜽等,其首皆非是。」乃斬子光而蔵三首。李尚書揆素為盧杞所悪,用為入蕃会盟使。揆辞老,恐死道路,不能達命。帝惻然,杞曰:「和戎当択練朝事者,非揆不可,揆行,則年少於揆者,後無所避矣。」辺批:佞口似是,揆不敢辞,揆至蕃。酋長曰:「聞唐有第一人李揆,公是否?」揆畏留,因紿之曰:「彼李揆安肯来耶?」

書き下し

安禄山の反するや、東都を破り、段子光を遣わして李𢜽、盧奕、蔣清の首を伝え、以て河北に徇えしむ。真卿は諸将を紿きて曰く、「吾は素より𢜽らを識る、其の首は皆な是に非ず」と。乃ち子光を斬りて三首を藏す。李尚書揆は素より盧杞の悪む所と為り、用いて入蕃会盟使と為す。揆は老を辞し、道路に死して命を達する能わざるを恐る。帝は惻然とす。杞曰く、「和戎は当に朝事に練るる者を擇ぶべし、揆に非ずんば不可なり。揆行かば、則ち揆より年少き者は、後に避くる所無からん」と。邊批:佞口にして是に似たり。揆は敢えて辞せず、揆は蕃に至る。酋長曰く、「聞く、唐に第一人の李揆有りと。公は是なるか」と。揆は留められんことを畏れ、因りて之を紿きて曰く、「彼の李揆が安んぞ肯えて来たらんや」と。

現代語訳

安禄山が反乱を起こして東都を破り、段子光を遣わして、李𢜽、盧奕、蔣清の首を持って河北を回らせ、見せしめにしようとした。顔真卿は諸将をだまして言った。「私はもとより李𢜽らを知っている。その首はどれも本人のものではない」。そこで段子光を斬り、三つの首を隠して葬った。李揆尚書は、もとから盧杞に憎まれており、盧杞はこれを吐蕃への会盟使に任じた。揆は老いを理由に辞退し、道中で死んで任務を果たせないのを恐れた。皇帝は気の毒に思った。盧杞は言った。「異民族との和平は、朝廷の事情に習熟した者を選ぶべきで、揆でなければ務まりません。揆が行けば、揆より年少の者は、後に辞退する口実がなくなります」。〔辺批:口先がうまく、もっともらしい〕揆は辞退できず、吐蕃に着いた。酋長は言った。「聞くところでは、唐には第一人者の李揆という人がいるそうだが、あなたがそうか」。揆は引き留められるのを恐れ、そこで偽って言った。「あの李揆が、どうしてここに来たりしましょうか」。

解説

顔真卿は、味方の英雄の首を敵に見せ物にされた怒りを抑え、相手の使者を斬ることで士気の低下を防ぎ、首を丁重に葬る、という二重の対応をしています。李揆は、嫌がらせで危険な使節に任じられ、そこで身分を問われると、別人のふりをして自分を守りました。いずれも、自分の立場と身を守る言葉を状況に合わせて選んでいます。後半の李揆の話は、個人の身を守る小さな機転ですが、組織の中で不当に危険を押し付けられたときの、現実的な対処の例でもあります。管理職は、部下を守る言葉の使い方と、自分を守る言葉の使い方の違いを考えるきっかけにできます。

この章句が説くこと

首皆非是蔵三首彼李揆安肯来立場機転危機対応

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