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智囊 / 靈變・張佳胤

張佳胤令滑。巨盜任敬,高章偽稱錦衣使來謁,直入堂階,北向立。公心怪之,判案如故。敬厲聲曰:「此何時,大尹猶倨見使臣乎?」公稍動容,避席迓之。敬曰:「身奉旨,不得揖也。」公曰:「旨逮我乎?」命設香案。敬附耳曰:「非逮公,欲沒耿主事家耳。」時有滑人耿隨朝任戶曹,坐草場火繫獄。

新字:張佳胤令滑。巨盗任敬,高章偽称錦衣使来謁,直入堂階,北向立。公心怪之,判案如故。敬厲声曰:「此何時,大尹猶倨見使臣乎?」公稍動容,避席迓之。敬曰:「身奉旨,不得揖也。」公曰:「旨逮我乎?」命設香案。敬附耳曰:「非逮公,欲没耿主事家耳。」時有滑人耿随朝任戸曹,坐草場火繋獄。

書き下し

張佳胤は滑に令たり。巨盗の任敬、高章は、偽りて錦衣使と称して来たり謁え、直ちに堂階に入り、北に向かいて立つ。公は心に怪しみ、案を判ずること故の如し。敬は声を厲しくして曰く、「此れ何の時ぞ、大尹は猶お倨りて使臣に見ゆるか」と。公は稍や容を動かし、席を避けてこれを迎う。敬曰く、「身は旨を奉ず、揖するを得ず」と。公曰く、「旨は我を逮するか」と。命じて香案を設けしむ。敬は耳に附して曰く、「公を逮するに非ず、耿主事の家を没せんと欲するのみ」と。時に滑の人の耿隨朝というもの有り、戸曹に任じ、草場の火に坐して獄に繋がる。

現代語訳

張佳胤は滑県の長官だった。大盗賊の任敬と高章は、錦衣衛の使者になりすまして面会に来て、そのまま役所の堂の階段に入り、北に向かって立った。公は心の中で怪しんだが、書類の裁きをいつも通り続けた。敬は声を荒らげて言った。「今はどういう時だ、県令はまだ高ぶって使者に会うのか」。公は少し態度を変え、席を立って迎えた。敬は言った。「私は勅命を奉じている、礼を取るわけにはいかぬ」。公は「勅命は私を逮捕するものですか」と言い、香案を設けるよう命じた。敬は耳元に口を寄せて言った。「あなたを逮捕するのではない。耿主事の家を没収しようというのだ」。このとき滑県の人で耿隨朝という者が、戸部に勤めていたが、草場の火事の責任を問われて牢に入っていた。

解説

ここから四つの章段にまたがる長い話の発端です。偽の勅使は、権威と威圧で相手を動かそうとします。張佳胤は最初から怪しみながらも、態度を急に変えず、いつも通り仕事を続けて様子を見ました。相手の高圧的な態度に対しても、すぐ反論せず、いったん応じる姿勢を取って情報を引き出しています。本物かどうかを確かめる前に、相手の主張に付き合って時間を稼ぎ、手の内を引き出すやり方です。管理職にとっては、権威を笠に着て来る人物に出会ったとき、感情的に反応せずに観察を優先する大切さを教えてくれる場面です。

この章句が説くこと

偽錦衣使判案如故避席迓之危機管理観察冷静

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