智囊 / 靈變・陳平
又,丘琥嘗過丹陽,有附舟者,屢窺寢所。琥心知其盜也,佯落簪舟底,而盡出其衣篋,鋪陳求之,又自解其衣以示無物。明日其人去,未幾,劫人於城中,被縛,語人曰:「吾幾誤殺丘公。」此二事與曲逆解衣刺船之智相似。
新字:又,丘琥嘗過丹陽,有附舟者,屡窺寝所。琥心知其盗也,佯落簪舟底,而尽出其衣篋,鋪陳求之,又自解其衣以示無物。明日其人去,未幾,劫人於城中,被縛,語人曰:「吾幾誤殺丘公。」此二事与曲逆解衣刺船之智相似。
書き下し
又、丘琥は嘗て丹陽を過ぐ。舟に附する者有り、屢々寝所を窺う。琥は心に其の盗なることを知り、佯りて簪を舟底に落とし、尽く其の衣篋を出し、鋪陳してこれを求め、又た自ら其の衣を解きて物無きを示す。明日、其の人は去り、未だ幾ばくならずして、人を城中に劫かされ、縛らる。人に語りて曰く、「吾は幾んど丘公を誤殺せんとす」と。此の二事は曲逆の衣を解きて船を刺せし智に相い似たり。
現代語訳
また、丘琥があるとき丹陽を通りかかった。同じ舟に乗せてもらった者がいて、たびたび丘琥の寝る所をうかがっていた。琥はそれが盗賊だと心の中で気づき、わざと簪を舟底に落としたふりをして、衣類の入った箱をすべて出し、広げて探し、さらに自分の衣も脱いで、何も持っていないと見せた。翌日その男は去り、まもなく城内で人を襲って縛られた。男は人に「危うく丘公を殺してしまうところだった」と語った。この二つの話は、曲逆侯陳平が衣を脱いで船をこいだ知恵とよく似ている。
解説
丘琥は、盗賊と見抜いても騒がず、簪を探すふりをして何も無いことを自然に見せました。直接対決すれば相手が刃物を抜くかもしれない場面で、相手に襲う理由そのものを消しています。しかも自分から衣まで脱ぐという徹底ぶりで、疑わせる余地を残しません。危機管理では、相手を倒すことより、相手に行動する動機を失わせることが有効な場合があります。管理職にとっても、問題を見つけたとき、正面から指摘する前に、状況を変えて問題が起こらない形にする選択肢があることを思い出させてくれる話です。
この章句が説くこと
佯落簪解其衣幾誤殺丘公危機管理観察先手
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