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智囊 / 權奇・李抱貞・劉元佐

李抱貞鎮潞州,軍資匱闕,計無所出。有老僧大為郡人信服,抱真因請之曰:「假和尚之道以濟軍中,可乎?」僧曰:「無不可。」抱真曰:「但言擇日鞠場焚身,某當於便宅鑿一地道通連,候火作,即鑽以相出。」僧喜從之,遂陳狀聲言,抱真命於鞠場積薪貯油,因為七日道場,晝夜香燈,梵唄雜作,抱真亦引僧視地道,使之不疑,僧乃升壇執爐,對眾說法,抱真率監軍僚屬及將吏膜拜其下,以俸入壇施,堆於其旁,由是士女駢填,舍財億計。計滿七日,遂聚薪發燄,擊鍾念佛,抱真密已遣人填塞地道,俄頃,僧薪並灰。籍所得貨財,即日悉輦入軍資庫,別求所謂舍利者,造塔貯焉。汴州相國寺言佛有汗流,節度使劉玄佐遽命駕,自持金帛以施。日中,其妻亦至,明日復起齋場,由是將吏商賈奔走道路,唯恐輸貨不及,因令官為簿以籍所入。十日,乃閉寺,曰:「佛汗止矣。」得錢巨萬,以贍軍資。〔評〕不仗佛力,軍資安出?王者並存三教,其亦有所用之歟!

新字:李抱貞鎮潞州,軍資匱闕,計無所出。有老僧大為郡人信服,抱真因請之曰:「仮和尚之道以済軍中,可乎?」僧曰:「無不可。」抱真曰:「但言択日鞠場焚身,某当於便宅鑿一地道通連,候火作,即鑽以相出。」僧喜従之,遂陳状声言,抱真命於鞠場積薪貯油,因為七日道場,昼夜香灯,梵唄雑作,抱真亦引僧視地道,使之不疑,僧乃升壇執炉,対衆説法,抱真率監軍僚属及将吏膜拝其下,以俸入壇施,堆於其旁,由是士女駢填,舎財億計。計満七日,遂聚薪発焔,撃鍾念仏,抱真密已遣人填塞地道,俄頃,僧薪並灰。籍所得貨財,即日悉輦入軍資庫,別求所謂舎利者,造塔貯焉。汴州相国寺言仏有汗流,節度使劉玄佐遽命駕,自持金帛以施。日中,其妻亦至,明日復起斎場,由是将吏商賈奔走道路,唯恐輸貨不及,因令官為簿以籍所入。十日,乃閉寺,曰:「仏汗止矣。」得銭巨万,以贍軍資。〔評〕不仗仏力,軍資安出?王者並存三教,其亦有所用之歟!

書き下し

李抱貞、潞州に鎮し、軍資匱闕して、計の出づる所無し。老僧有り、大いに郡人に信服せらる。抱真、因りて之に請いて曰く、「和尚の道を仮りて以て軍中を済わんと欲す、可なるか」と。僧曰く、「不可なる無し」と。抱真曰く、「但だ言え、日を択びて鞠場にて身を焚くと。某、当に便宅に於いて一地道を鑿ち通連し、火の作るを候ち、即ち鑽りて以て相い出でん」と。僧、喜びて之に従う。遂に状を陳べて声言す。抱真、命じて鞠場に薪を積み油を貯え、因りて七日の道場を為し、昼夜に香灯し、梵唄雑ごも作る。抱真も亦た僧を引きて地道を視せしめ、之をして疑わざらしむ。僧、乃ち壇に升り爐を執り、衆に対して説法す。抱真、監軍の僚属及び将吏を率いて其の下に膜拝し、俸入を以て壇に施し、其の旁に堆む。是に由り士女、駢填し、財を舎つること億を計う。七日を計り満ちて、遂に薪を聚めて燄を発し、鍾を撃ち念仏す。抱真、密かに已に人を遣わして地道を填塞せしむ。俄頃にして僧と薪と灰となる。得る所の貨財を籍し、即日、悉く軍資庫に輦入す。別に所謂る舎利を求め、塔を造りて焉に貯う。汴州の相国寺、仏に汗流すと言う。節度使劉玄佐、遽に駕を命じ、自ら金帛を持して以て施す。日中、其の妻も亦た至り、明日、復た斎場を起こす。是に由り将吏商賈、道路に奔走し、唯だ貨を輸すこと及ばざるを恐る。因りて官をして簿を為りて以て入る所を籍せしむ。十日にして、乃ち寺を閉じて曰く、「仏の汗止みぬ」と。銭巨万を得て、以て軍資を贍う。〔評〕仏力に仗らずんば、軍資安くにか出でん。王者、三教を並存す、其れ亦た用うる所有るか。

現代語訳

李抱貞が潞州に駐在していたとき、軍の資金が尽き、手立てがなくなった。ある老僧がいて、郡の人々から大いに信頼されていた。抱貞は老僧に頼んだ、「和尚の道を借りて軍中を救いたいが、よろしいか」と。僧は「かまいません」と言った。抱貞は「ただこう言ってください。日を選んで鞠場で焼身する、と。私は私邸から地下道を掘ってつなぎ、火が起こるのを待って、すぐに掘って出られるようにしておきます」と言った。僧は喜んでこれに従った。そこで書面を出して公言した。抱貞は命じて鞠場に薪を積み油をためさせ、七日間の道場を営み、昼夜に香と灯をともし、読経が絶えなかった。抱貞は僧を連れて地下道を見せ、疑わないようにさせた。僧は壇に上り香炉を持って、人々に説法した。抱貞は監軍の属官と将校を率いてその下で拝み、俸給から壇に布施を出し、傍らに積んだ。これによって男女が詰めかけ、捨てた財は億を数えた。七日が満ちると、薪を集めて火を放ち、鐘を撃って念仏した。抱貞はひそかに人を遣わして、すでに地下道をふさがせていた。たちまち僧と薪は灰になった。集まった財貨を帳簿に記し、その日のうちにすべて軍の倉庫に運び込んだ。別に舎利を探し、塔を造って納めた。汴州の相国寺で、仏が汗を流すと言いふらす者があった。節度使の劉玄佐はすぐ車を出させ、自ら金品を持って布施した。昼に妻も来て、翌日、また斎場を開いた。これにより将校や商人が道を走り回り、財物を納めるのが間に合わないことを恐れた。そこで役所に帳簿を作らせて入った額を記録させた。十日して、寺を閉じて「仏の汗は止まった」と言った。巨万の銭を得て、軍資に充てた。〔評〕仏の力に頼らなければ、軍資はどこから出ただろうか。王者が三教を並び存続させるのも、このような用い方があるからではないか。

解説

軍資が尽きたとき、信仰を集金装置として使った二つの話です。李抱貞は老僧を焼身させる芝居を打ち、実際には地下道を塞いで僧を死なせています。ここには人の命を使った冷酷な謀略が含まれます。劉玄佐の場合は、仏が汗を流すという噂で寄進を募りました。馮夢龍は仏力による軍資の確保と肯定的に評していますが、現代の感覚では、信仰の悪用や僧の殺害は許されず、読み手は慎重に距離を置くべきです。組織が資金難に直面しても、信頼を犠牲にした資金調達は後に大きな代償を伴います。

この章句が説くこと

軍資焼身地道仏の汗寄進信仰の利用

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