智囊 / 謬數・唐太宗
薛萬徹尚丹陽公主。太宗嘗謂人曰:「薛駙馬村氣。」主羞之,不與同席數月。帝聞而大笑,置酒召對握槊,賭所佩刀,帝佯不勝,解刀以佩之。罷酒,主悅甚,薛未及就馬,遽召同載而還,重之逾於舊。〔評〕省卻多少調和力氣。
新字:薛万徹尚丹陽公主。太宗嘗謂人曰:「薛駙馬村気。」主羞之,不与同席数月。帝聞而大笑,置酒召対握槊,賭所佩刀,帝佯不勝,解刀以佩之。罷酒,主悦甚,薛未及就馬,遽召同載而還,重之逾於旧。〔評〕省却多少調和力気。
書き下し
薛万徹、丹陽公主に尚す。太宗、嘗て人に謂いて曰く、「薛駙馬は村気あり」と。主、之を羞じ、同席せざること数月。帝、聞きて大いに笑い、酒を置き召して対して槊を握り、佩ぶる所の刀を賭す。帝、佯りて勝たず、刀を解きて之に佩ぶ。酒を罷め、主、悦ぶこと甚だし。薛、未だ馬に就くに及ばず、遽に召して同載して還り、之を重んずること旧に逾ゆ。〔評〕多少の調和の力気を省却す。
現代語訳
薛万徹は丹陽公主の婿となった。太宗は以前、人に向かって「薛駙馬は田舎くさい」と言った。公主はこれを恥じ、数か月間、夫と同じ席につかなかった。皇帝はこれを聞いて大笑いし、酒席を設けて薛万徹を呼び、向かい合って槊(すごろくに似た遊び)を打ち、腰に帯びた刀を賭けた。皇帝はわざと負け、刀を外して薛万徹に帯びさせた。酒宴が終わると、公主は大いに喜んだ。薛万徹が馬に乗る前に、公主はにわかに呼んで同じ車に乗せて帰り、以前よりも重んじるようになった。〔評〕多くの仲裁の労力を省いた。
解説
自分の軽い一言が夫婦の亀裂を生んだとき、太宗は説明も謝罪もせず、賭けに負けて刀を与えるという演出で解決しました。薛万徹の価値を皇帝が認めた証拠を、公主の目に見える形で示したのです。管理職の何気ない評が部下に傷を残すことは多く、その修復も、説教や弁明ではなく、行動で相手の価値を示す方が効果的だと分かります。馮夢龍が、調和にかかる多くの労力を省いたと評しているのも、この簡潔さを指しています。部下への評価を言葉でなく態度で表す重要性を示す例です。
この章句が説くこと
村気槊を握る刀を賭す太宗調和名誉の回復
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