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智囊 / 識斷・韓琦

英宗初晏駕,急召太子。未至,英宗復手動。曾公亮愕然,亟告韓琦,欲止勿召。琦拒之,曰:「先帝復生,乃一太上皇。」愈促召之。內都知任守忠奸邪反覆,間諜兩宮。韓琦一日出空頭敕一道,參政歐陽修已僉書矣,趙概難之,修曰:「第書之,韓公必自有說。」琦坐政事堂,以頭子勾任守忠立庭下,數之曰:「汝罪當死,謫蘄州團練副使,蘄州安置。」取空頭敕填之,差使臣即日押行。〔馮評〕韓魏公生平從未曾以「膽「字許人,此等神通,的是無兩。

新字:英宗初晏駕,急召太子。未至,英宗復手動。曽公亮愕然,亟告韓琦,欲止勿召。琦拒之,曰:「先帝復生,乃一太上皇。」愈促召之。内都知任守忠奸邪反覆,間諜両宮。韓琦一日出空頭勅一道,参政欧陽修已僉書矣,趙概難之,修曰:「第書之,韓公必自有説。」琦坐政事堂,以頭子勾任守忠立庭下,数之曰:「汝罪当死,謫蘄州団練副使,蘄州安置。」取空頭勅填之,差使臣即日押行。〔馮評〕韓魏公生平従未曽以「胆「字許人,此等神通,的是無両。

書き下し

英宗、初めて晏駕するや、急ぎ太子を召す。未だ至らざるに、英宗復た手動く。曾公亮、愕然として、亟かに韓琦に告げ、止めて召すこと勿からしめんと欲す。琦これを拒みて曰く、「先帝、復た生くるも、乃ち一の太上皇なるのみ」と。愈いよ促して之を召す。内都知の任守忠は、奸邪反覆にして、両宮を間諜す。韓琦、一日、空頭の敕一道を出す。参政の欧陽修、已に僉書す。趙概これを難しとす。修曰く、「第だ之に書せよ。韓公必ず自ら説有らん」と。琦、政事堂に坐し、頭子を以て任守忠を勾きて庭下に立たしめ、之を数めて曰く、「汝の罪は死に当たる。蘄州団練副使に謫す。蘄州に安置せよ」と。空頭の敕を取りて之を填め、使臣を差して即日押行せしむ。〔馮評〕韓魏公は生平、未だ曾て「胆」の字を以て人に許さず。此等の神通は、的に是れ両つ無し。

現代語訳

英宗が亡くなったとき、急いで太子を呼びました。太子がまだ着かないうちに、英宗の手がまた動きました。曾公亮は驚いて、急ぎ韓琦に告げ、呼ぶのをやめようとしました。韓琦はそれを退けて言いました。「先帝が生き返っても、一人の太上皇になるだけです。」いっそう急いで太子を呼びました。内都知の任守忠は、邪悪で二心があり、両宮の間にスパイを入れて不和を図っていました。韓琦はある日、宛名を空欄にした勅書を一通取り出しました。参政の欧陽修はすでに署名しました。趙概は難色を示しました。欧陽修は言いました。「ともかく署名なさい。韓公にはきっとご自分の考えがある。」韓琦は政事堂に座り、通達書で任守忠を召し出して庭に立たせ、罪状を数え上げて言いました。「おまえの罪は死に当たる。蘄州団練副使に左遷する。蘄州で謹慎せよ。」空欄の勅書を取り出して名前を書き入れ、使者を遣わしてその日のうちに送り出させました。〔馮評〕韓魏公は生涯、「胆」の字を人に許したことがありません。このような神通力は、まことに二つとありません。

解説

韓琦は二つの場面で、迷いのない果断を見せました。一つは、先帝の手が動いたという曖昧な報せで、継承の手続きを止めようとする声を退けたこと。もう一つは、あらかじめ空欄の勅書を用意して、奸臣の任守忠を一気に処分したことです。前者は情に流されず筋を通す判断、後者は準備と同僚の信頼を使った実行です。現代でも、混乱期に重要な手続きを止めずに進める判断と、問題人物への処置を周到に整えて短時間で実行する手法は参考になります。ただし、空欄の文書を使う手法は権限の問題が大きく、現代では透明性が求められます。

この章句が説くこと

太上皇空頭の勅任守忠韓琦果断準備

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