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智囊 / 識斷・陸樹聲

陸文裕為山西提學。時晉王有一樂工,甚愛幸之,其子學讀書,前任副使考送入學。公到任,即行文黜之。晉王再四與言,公曰:「寧可學宮少一人,不可以一人污學宮。」堅意不從。〔馮評〕自學宮多假借,而賤妨貴,僕抗主者紛紛矣!得陸公一擴清,大是快事。

新字:陸文裕為山西提学。時晋王有一楽工,甚愛幸之,其子学読書,前任副使考送入学。公到任,即行文黜之。晋王再四与言,公曰:「寧可学宮少一人,不可以一人汚学宮。」堅意不従。〔馮評〕自学宮多仮借,而賤妨貴,僕抗主者紛紛矣!得陸公一擴清,大是快事。

書き下し

陸文裕、山西の提学たり。時に晋王に一の楽工有り、甚だ之を愛幸す。其の子、学びて書を読み、前任の副使、考えて入学せしむ。公、任に到り、即ち文を行いて之を黜く。晋王、再三与に言うも、公曰く、「寧ろ学宮に一人を少なくすべし。一人を以て学宮を汚すべからず」と。意を堅くして従わず。〔馮評〕学宮に仮借多きより、賤は貴を妨げ、僕は主に抗する者紛紛たり。陸公の一たび擴清を得たるは、大いに是れ快事なり。

現代語訳

陸文裕は山西の提学官でした。そのころ晋王にはお気に入りの楽工がいて、たいへん寵愛していました。その子が学問を志して書を読み、前任の副使が試験して入学を許していました。陸公は着任すると、すぐ文書を出してその入学を取り消しました。晋王は再三、陸公に話しかけましたが、陸公は言いました。「学宮の人数が一人少なくなっても構いません。一人のために学宮を汚してはなりません。」意志を固くして従いませんでした。〔馮評〕学宮に特例の便宜が増えてから、身分の低い者が高い者を妨げ、下僕が主人に逆らうことが次々と起こりました。陸公が一たび清めてくれたことは、たいへん痛快なことです。

解説

陸文裕は、有力な王の頼みであっても、入学の基準を曲げず、前任者の判断を取り消すことで規律を守りました。ここでの主眼は、少数の例外を許すことが、制度全体の信用を損なうという見方です。馮夢龍も、特例が重なると身分秩序が崩れると評価しています。現代の管理職にとっても、有力者の関係者の採用や昇進など、基準を曲げたくなる場面があります。そこで例外を断る際は、相手の面子を傷つけないよう丁寧に理由を伝え、記録を整えておく必要があります。身分意識に基づく部分は時代の限界として読み分けるべきです。

この章句が説くこと

学宮晋王楽工基準例外公正

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