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智囊 / 威克・呂公弼・張詠

〔馮評〕袁了凡曰:「宋世馭守令之寬,每以格外行事,法外殺人。故不肖者或縱其惡,而豪傑亦往往得借以行其志。今守令之權漸消,自笞十至杖百僅得專決,而徒一年以上,必申請待報,往返詳駁,經旬累月。於是文案益繁,而狴犴之淹係者亦多矣!」子猶曰:「自雕蟲取士,資格困人,原未嘗搜豪傑而汰不肖,安得不輕其權乎?吾於是益思漢治之善也!」

新字:〔馮評〕袁了凡曰:「宋世馭守令之寛,毎以格外行事,法外殺人。故不肖者或縦其悪,而豪傑亦往往得借以行其志。今守令之権漸消,自笞十至杖百僅得専決,而徒一年以上,必申請待報,往返詳駁,経旬累月。於是文案益繁,而狴犴之淹係者亦多矣!」子猶曰:「自雕虫取士,資格困人,原未嘗捜豪傑而汰不肖,安得不軽其権乎?吾於是益思漢治之善也!」

書き下し

〔馮評〕袁了凡曰く、「宋世の守令を馭するに寛なるは、每に格外に事を行い、法外に人を殺す。故に不肖者は或いは其の悪を縦にし、而して豪傑も亦た往往にして借りて以て其の志を行うことを得。今守令の権は漸く消え、笞十より杖百に至るまで僅かに専決するを得るのみ。而して徒一年以上は必ず申請して報を待ち、往返詳駁して旬を経月を累ぬ。是に於いて文案益ます繁くして、狴犴の淹係する者も亦た多し」と。子猶曰く、「雕蟲を以て士を取り、資格もて人を困しめ、原より未だ嘗て豪傑を搜して不肖を汰らず。安んぞ其の権を軽んぜざるを得んや。吾は是に於いて益ます漢の治の善きを思うなり」と。

現代語訳

〔馮夢龍の評〕袁了凡は言う。「宋の世は地方長官の扱いが寛大で、よく規定の外で事を行い、法の外で人を殺した。だから不心得者は悪事をほしいままにすることがあり、一方で豪傑もしばしばそれを借りて志を実行できた。今は地方長官の権限が次第に削られ、笞十から杖百までの刑をわずかに独断で処分できるにすぎない。一年以上の徒刑になると必ず上申して返答を待ち、往復して詳しく審議され、十日、一か月と日数がかかる。そのため文書がますます繁雑になり、牢に長く繋がれる者も多くなった」。子猶(馮夢龍)は言う。「詩文の技巧で人材を採り、資格によって人を縛る制度は、そもそも豪傑を探して不心得者を除いたことがない。どうして長官の権限を軽くしないでいられよう。私はこうして、ますます漢の治世の良さを思うのだ」。

解説

袁了凡は、宋代には地方長官の裁量が大きく、悪人にも英雄にも活動の余地があったが、今は権限が縮み手続きが重くなったと述べます。馮夢龍はそれを受けて、制度が人材の見極めを怠っているからこそ権限が軽んじられると指摘します。現代の組織でも、権限を現場から引き上げすぎると、判断が遅れ、手続きの滞留で本来守るべき人まで苦しめます。逆に裁量を与えるなら、見極めと責任の設計が前提です。権限委譲と統制のバランスを問い直す視点を与えてくれる一節です。

この章句が説くこと

格外に事を行う法外権限裁量手続き人材の見極め

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