智囊 / 詰奸・江點
江點,字德輿,崇安人。以特恩補官,調郢州錄參時,郡常平庫失銀。方緝捕,有劉福者因貿易得銀一筒,上有「田家抵當」四字,一銀工發其事,劉不能直。籍其家,約萬餘緡,法當死。點疑其枉,又見款牘不圓,除所發者皆非正贓,點反覆詰問,劉苦於鍛冶,不願平反,點立言於守,別委推問,得實與點同,然未獲正賊,劉終難釋。未幾,經總軍資兩庫皆被盜,失金以萬計,點料必前盜也。州司有使臣李義者,館一妓,用度甚侈,點疑之,未敢輕發,會制司行下,買營田耕牛。點因而陰遣人襲妓家,得金一束,遂白於府,即簡使臣行李,中皆三庫所失之物。,劉方得釋,人皆服點之明見。
新字:江点,字徳輿,崇安人。以特恩補官,調郢州録参時,郡常平庫失銀。方緝捕,有劉福者因貿易得銀一筒,上有「田家抵当」四字,一銀工発其事,劉不能直。籍其家,約万余緡,法当死。点疑其枉,又見款牘不円,除所発者皆非正贓,点反覆詰問,劉苦於鍛冶,不願平反,点立言於守,別委推問,得実与点同,然未獲正賊,劉終難釈。未幾,経総軍資両庫皆被盗,失金以万計,点料必前盗也。州司有使臣李義者,館一妓,用度甚侈,点疑之,未敢軽発,会制司行下,買営田耕牛。点因而陰遣人襲妓家,得金一束,遂白於府,即簡使臣行李,中皆三庫所失之物。,劉方得釈,人皆服点之明見。
書き下し
江点、字は徳輿、崇安の人なり。特恩を以て官を補せられ、郢州録参に調せらる時、郡の常平庫に銀を失う。方に緝捕するに、劉福という者有り、貿易に因りて銀一筒を得たり。上に「田家抵当」の四字有り。一銀工其の事を発し、劉は直くする能わず。其の家を籍すれば、約万余緡、法は死に当たる。点は其の枉なるかと疑い、又款牘の円かならざるを見る。発する所の者を除き、皆な正贓に非ず。点は反覆して詰問す。劉は鍛冶に苦しみ、平反を願わず。点は立ちどころに守に言い、別に推問を委ね、実を得ること点と同じ。然れども未だ正賊を獲ず、劉は終に釈し難し。未だ幾ばくならずして、経総軍資の両庫皆な盗まる。金を失うこと万を以て計う。点は必ず前の盗ならんと料る。州司の使臣李義という者有り、一妓を館し、用度甚だ侈り。点は之を疑うも、未だ敢て軽がるしく発せず。会たま制司より行下して営田の耕牛を買わしむ。点は因りて陰かに人を遣わして妓の家を襲わしめ、金一束を得たり。遂に府に白し、即ち使臣の行李を簡すれば、中に皆な三庫の失う所の物あり。,劉は方めて釈くを得、人は皆な点の明見に服す。
現代語訳
江点、字は徳輿、崇安の人です。特別の恩典によって官を補われ、郢州の録参に転任したとき、州の常平倉庫で銀が盗まれる事件が起こりました。捜査のさなか、劉福という者が商売で銀の包みを手に入れていました。その上に「田家抵当」の四字がありました。一人の銀細工師がこの事を告発し、劉福は申し開きができませんでした。劉の家を調べて没収すると、約一万余緡にのぼり、法では死罪にあたりました。江点は冤罪ではないかと疑い、さらに供述書が整っていないことに気づきました。告発された以外の物は、すべて盗品ではありません。江点は何度も問いただしました。劉福は厳しい取り調べに苦しみ、再審を望みませんでした。江点はただちに長官に申し出て、別の者に再調査を委ねましたが、結果は江点と同じでした。しかし真犯人はまだ捕らえられておらず、劉福を釈放することはできませんでした。やがて、軍資を管理する二つの倉庫もともに盗まれ、失われた金は万で数えるほどでした。江点は、きっと以前の盗賊と同じ犯人だろうと推測しました。州の役所に李義という使臣がいて、妓女を一人囲い、費用が甚だしく贅沢でした。江点はこれを疑いましたが、軽々しくは動きませんでした。折しも制司から、営田用の耕牛を買う命令が下りました。江点はこれに乗じて、ひそかに人を遣わして妓女の家を調べさせ、金一束を見つけました。そこで長官に報告し、すぐに使臣の荷物を調べると、中はすべて三つの倉庫から失われた物でした。劉福はようやく釈放され、人々は皆、江点の明察に感服しました。
解説
この章句が説くこと
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