智囊 / 詰奸・馬光祖
馬裕齋知處州,禁民捕蛙。一村民將生瓜切作蓋,刳虛其腹,實蛙於中,黎明持入城,為門卒所捕。械至庭,公心怪之,問:「汝何時捕此蛙?」答曰:「夜半。」問:「有人知否?」曰:「唯妻知。」公疑妻與人通,逮妻鞫之,果然。蓋人欲陷夫而奪其妻,故使妻教夫如此。又先誡門卒,以故捕得,公遂置姦淫者於法。
新字:馬裕斎知処州,禁民捕蛙。一村民将生瓜切作蓋,刳虚其腹,実蛙於中,黎明持入城,為門卒所捕。械至庭,公心怪之,問:「汝何時捕此蛙?」答曰:「夜半。」問:「有人知否?」曰:「唯妻知。」公疑妻与人通,逮妻鞫之,果然。蓋人欲陥夫而奪其妻,故使妻教夫如此。又先誡門卒,以故捕得,公遂置姦淫者於法。
書き下し
馬裕斎、処州に知たり、民の蛙を捕らうるを禁ず。一村民、生瓜を将て切りて蓋と作し、其の腹を刳りて虚しくし、蛙を中に実たし、黎明に持ちて城に入る。門卒に捕えらる。械して庭に至らしむ。公は心に之を怪しみ、問う、「汝は何れの時に此の蛙を捕らえしか」と。答えて曰く、「夜半なり」と。問う、「人の知る有るや否や」と。曰く、「唯だ妻のみ知れり」と。公は妻の人と通ずるかと疑い、妻を逮えて之を鞫すれば、果たして然り。蓋し人の夫を陥れて其の妻を奪わんと欲し、故に妻をして夫に教えしむること此くの如し。又先に門卒を誡め、以て故に捕え得たり。公遂に姦淫の者を法に置く。
現代語訳
馬裕斎(馬光祖)が処州の知事だったとき、人々が蛙を捕るのを禁じていました。ある村人が、生の瓜を切ってふたを作り、中をくり抜いて蛙を詰め込み、夜明けに持って城に入りました。門番に見つかって捕らえられ、手かせをはめて役所の庭に連れて来られました。馬公は心の中で不審に思い、尋ねました。「お前はいつこの蛙を捕まえたのか」。「真夜中です」。「それを知っている人はいるか」。「妻だけが知っています」。公は、妻が誰かと通じているのではないかと疑い、妻を捕らえて取り調べると、果たしてそのとおりでした。つまり、ある男が夫を陥れて妻を奪おうとして、妻に夫へそうするよう教えさせたのです。また、先に門番にも言い含めておいたので、夫が捕まったのでした。公は結局、不義を働いた者を法に照らして処罰しました。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『智囊』詰奸・元絳江寧の推官元絳、上元の令を摂す。甲と乙と酒を被りて相い毆つ。甲は帰りて臥し、夜に盗に足を断たる。妻は乙と称し、乙を執えて県に詣れば、甲は已に死せり。絳は其の妻に敕して曰く、「帰りて夫の喪を治めよ。乙は已に服せり」と。陰かに謹信なる吏を遣わして其の後を跡けしむれば、一僧の迎え笑い、切切として私語するを望む。絳は命じて取りて廡下に係がしめ、妻に奸の状を詰ぬれば、即ち実を吐く。人其の故を問うに、絳曰く、「吾れ妻の哭して哀しまず、且つ傷つけられし者と席を共にして襦に血の污れ無きを見る。是を以て之を知る」と。
-
『智囊』詰奸・張升張升、潤州に知たりし日、婦人の夫出でて数日帰らざる有り。,忽ち人の報じて菜園の井中に死人有りと言う者有り。婦人驚き往きて之を視、号哭して曰く、「吾が夫なり」と。遂に以て官に聞こゆ。公は属官をして鄰里を集め、井に就きて其の夫なるや否やを験せしむ。皆以えらく、井深くして弁ずべからず、請う屍を出して験せんと。公曰く、「衆皆弁ずること能わず、婦人は独り何を以て是れ其の夫なるを知るか」と。所司に収付して鞫問すれば、果たして奸人の其の夫を殺し、婦人は謀に与る者なり。
-
『智囊』詰奸・某京師指揮京師に盗有り、一家を劫かし、一冊を遺す。旦に之を視れば、尽く富室の子弟の名なり。書に曰く、「某日、某甲、某地に会飲して事を議す」と。或いは「聚博して娼を挟む」云云と、凡そ二十条。以て官に白す。冊に按じて捕え至るに、皆な桚弛の少年なり。良に以て是なりと為す。各おの父母は諸児の素より不逞なるを謂い、亦た頗る自ら疑う。群少の飲博する諸事の悉く実なるに及び、蓋し盗は毎に偵して之を籍せしなり。少年は榜毒に勝えず、誣いて服す。賄の所在を訊すに、浪りに言う、「郊外の某処に埋む」と。之を発けば悉く獲たり。諸少相顧みて駭愕して云う、「天、我を亡ぼす」と。遂に案を結び決を伺う。一指揮、之を疑いて其の故を得ず。沈思すること良や久しくして曰く、「我が左右の中に一髯有り、職は馬を豢うのみ。何ぞ斯の獄を訊するたびに輒ち侍側するを得んや」と。因りて復た囚を引きて鞫すること数四、察するに髯は必ず至り、他は則ち否なり。猝かに呼びて問えば、髯は他無しと辞す。即ち炮烙の具を取らしむれば、髯は叩頭して左右を屏けんことを請い、乃ち曰く、「初め事の本末を知らず。唯だ盗、奴に賂し、斯の獄を治むる毎に、必ず公と囚との言を記して馳せ報ぜしめ、我に百金を酬ゆるを許せり」と。乃ち知る、発く所の贓は、皆な報を得て宵に瘞めしことを。髯、賊を擒えて自ら贖わんことを請う。指揮、数兵をして雑衣して与に往かしむ。僻境に至り、悉く之を擒え、諸少乃ち釈かるるを得たり。
-
『智囊』詰奸・胡汲仲胡汲仲、寧海に在りし日、群嫗の仏庵に聚まりて経を誦する有り。一嫗其の衣を失う。適たま汲仲の出行するに、前に訟う。汲仲は牟麦を以て群嫗の掌中に置き、合掌して仏を繞りて経を誦すること故の如くならしむ。汲仲は目を閉じ端坐し、且つ曰く、「吾れ神をして之を督せしむ。衣を盗む者、行くこと数周なれば、麦当に芽ぐむべし」と。中の一嫗屢しば開きて其の掌を視る。遂に命じて之を縛らしむれば、果たして衣を窃みし者なり。
-
『智囊』詰奸・錢藻銭藻、兵を密雲に備う。二京軍有り、人を通州に劫かす。之を獲たるも服せず、州以て藻に白す。二賊は京軍なるを恃み、出語無状なり。藻乃ち甲を大門の外に移し、独り乙を留めて鞫問すること数四、声色甚だ厲し。已にして筆を握りて百許字を作り、乙の口語を録するが若き状にして、遣り去らしむ。隨いて甲を以て入らしめ、之を紿きて曰く、「乙は已に実を吐けり。事は汝に由る。乙は当に生くべし。汝は当に死すべし」と。甲は其の紿くを意わず、忿然として曰く、「乙は本と首事なり。何ぞ我に委ねんや」と。乃ち尽く乙の首事の状を白す。藻、乙を出だして之に証し、遂に法の如くに論ず。
-
『智囊』詰奸・吳復溧水の人陳徳、妻の林を娶りて歳余にして、家貧しく臨清に傭わる。林は麻を績いで自活す。久しくして、左鄰の張奴に誘われ、意は甚だ相愜えり。三載を歴て、陳徳は数十金を囊に積みて以て帰る。家を離るること尚お十五里にして、天暮れ且つ微雨あり。徳、宝を懐くの累と為るを慮り、乃ち金を水心橋の第三柱の穴の中に蔵し、徒歩して家に抵る。而して林は適たま張と狎れ、夫の門を叩く声を聞き、牀下に匿る。既に夫婦相見えて労苦し、因りて金を蔵せし故を敘す。晨に比び往きしとき、張は已に竊かに聴き、後扉を啓きて出で、先に掩して之を有せり。林の心は夫に在らず、既に金を亡えるを聞き、其の誑りかと疑い、怨詈交ごも作る。時に署県事なる晋江の呉復は、能声有り。徳、為に之を訴う。呉笑いて曰く、「汝は腹心を以て妻に向かうも、妻に別に腹心有るを知らず」と。林を拘えて至らしめ、嚴しく之を訊す。林は枉を呼ぶ。徳は妻を心に憐れみ、金を棄てんことを願う。呉叱して曰く、「汝は詐りて金を失い、官長を戯るるか」と。徳を獄中に置き、林を釈いて以て帰らしむ。隨いて吏人の黠き者に命じて丐容を為らしめ、林に造りて之を察せしむるに、張と林と私かに問慰する状を得たり。呉は並びに擒えて治め、事遂に白らかなり。〔馮述評〕一に云う、此れも亦た広東の周新、浙江に按察たりし時の事なり、と。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る