智囊 / 得情・楊評事
湖州趙三與周生友善,約同往南都貿易,趙妻孫不欲夫行,已鬧數日矣。及期黎明,趙先登舟,因太早,假寐舟中,舟子張潮利其金,潛移舟僻所沉趙,而復詐為熟睡,周生至,謂趙未來,候之良久,呼潮往促,潮叩趙門,呼,三娘子。」因問:「三官何久不來?」孫氏驚曰:「彼出門入矣,豈尚未登舟耶?」潮復周,周甚驚異,與孫分路遍尋,三日無蹤,周懼累,因具牘呈縣。縣尹疑孫有他故,害其夫,久之,有楊評事者閱其牘,曰:「叩門便叫三娘子,定知房內無夫也。」以此坐潮罪,潮乃服。
新字:湖州趙三与周生友善,約同往南都貿易,趙妻孫不欲夫行,已鬧数日矣。及期黎明,趙先登舟,因太早,仮寐舟中,舟子張潮利其金,潜移舟僻所沈趙,而復詐為熟睡,周生至,謂趙未来,候之良久,呼潮往促,潮叩趙門,呼,三娘子。」因問:「三官何久不来?」孫氏驚曰:「彼出門入矣,豈尚未登舟耶?」潮復周,周甚驚異,与孫分路遍尋,三日無蹤,周懼累,因具牘呈県。県尹疑孫有他故,害其夫,久之,有楊評事者閲其牘,曰:「叩門便叫三娘子,定知房内無夫也。」以此坐潮罪,潮乃服。
書き下し
湖州の趙三と周生は友として善し。約して同に南都に往きて貿易せんとす。趙の妻孫は夫の行くを欲せず、已に鬧ぐこと数日なり。期に及びて黎明、趙は先に舟に登る。太だ早きに因りて、舟中に仮寐す。舟子の張潮、其の金を利し、潜かに舟を僻所に移して趙を沈め、而して復た詐りて熟睡と為る。周生至り、趙未だ来たらずと謂い、之を候つこと良や久し。潮を呼びて往きて促さしむ。潮は趙の門を叩き、呼ぶ、「三娘子」と。因りて問う、「三官は何ぞ久しく来たらざるや」と。孫氏驚きて曰く、「彼は出門して入りたり。豈に尚お未だ舟に登らざるや」と。潮は復た周に告ぐ。周は甚だ驚異し、孫と分路して遍く尋ぬるも、三日して蹤無し。周は累を懼れ、因りて牘を具して県に呈す。県尹は孫に他の故ありて、其の夫を害せるかと疑う。久しくして、楊評事なる者有り、其の牘を閲して曰く、「門を叩きて便ち三娘子と叫ぶ。定めて房内に夫無きを知るなり」と。此を以て潮を罪に坐す。潮乃ち服す。
現代語訳
湖州の趙三と周生は仲のよい友人で、一緒に南京へ商売に行く約束をした。趙の妻の孫氏は夫が出かけるのを望まず、数日も騒いでいた。出発の日の夜明け、趙が先に舟に乗った。あまりに早かったので、舟の中でうたた寝した。船頭の張潮は、その金に目をつけ、ひそかに舟を人気のない場所に移して趙を沈め、そのあと眠っているふりをした。周生が来て、趙はまだ来ていないと思い、しばらく待った。張潮を呼んで催促に行かせた。張潮は趙の家の門を叩き、「三娘子」と呼んだ。そして尋ねた。「三官はなぜ長く来られないのですか」と。孫氏は驚いて言った。「あの人は家を出ましたよ。まだ舟に乗っていないのですか」と。張潮は周に知らせた。周は大いに驚き、孫氏と手分けして探し回ったが、三日たっても手がかりがなかった。周は巻き込まれるのを恐れて、書面を整えて県に届けた。県令は孫氏に別の事情があって夫を害したのではないかと疑った。しばらくして、楊評事という人がその書面を見て言った。「門を叩いて、すぐに『三娘子』と呼んだ。夫が家にいないことを、あらかじめ知っていたのだ」と。これによって張潮を罪に問い、張潮は自白した。
解説
この章句が説くこと
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