智囊 / 得情・周紆
周紆為召陵侯相。廷掾憚紆嚴明,欲損其威。侵晨,取死人斷手足,立寺門。紆聞輒往,至死人邊,若與共語狀,陰察視口眼有稻芒,乃密問守門人曰:「夕誰載藁入城者?」門者對:「唯有廷掾耳。」乃收廷掾,拷問具服,後人莫敢欺者。
新字:周紆為召陵侯相。廷掾憚紆厳明,欲損其威。侵晨,取死人断手足,立寺門。紆聞輒往,至死人辺,若与共語状,陰察視口眼有稲芒,乃密問守門人曰:「夕誰載藁入城者?」門者対:「唯有廷掾耳。」乃収廷掾,拷問具服,後人莫敢欺者。
書き下し
周紆、召陵侯の相と為る。廷掾、紆の厳明を憚り、其の威を損なわんと欲す。侵晨に死人を取りて手足を断ち、寺門に立つ。紆聞きて輒ち往き、死人の辺に至り、与に語るが若き状をなし、陰かに口眼を察視するに稲芒有り。乃ち密かに守門人に問いて曰く、「夕に誰か藁を載せて城に入る者ありし」と。門者対えて曰く、「唯だ廷掾有るのみ」と。乃ち廷掾を収め、拷問して具に服す。後は人敢えて欺く莫し。
現代語訳
周紆は召陵侯の相であった。属官の廷掾は、周紆の厳しく明察なことを嫌って、その威信を傷つけようとした。夜明けに死体を持ち出して手足を切り、役所の門に立てた。周紆は聞くとすぐに出かけ、死体のそばで話しかけるような様子をしながら、ひそかに口や目を調べた。すると稲の穂先が付いていた。そこで密かに門番に尋ねた。「昨夕、藁を載せて城に入った者はいたか」と。門番は答えた。「廷掾だけです」と。そこで廷掾を捕らえて拷問すると、すべてを自白した。以後、誰も周紆を欺こうとしなかった。
解説
この話は、脅しや挑発に動じず、冷静に現場の細部を観察する姿勢を示しています。周紆は、死体を見せつけられる異様な場面でも慌てず、口や目に付いた稲芒という小さな証拠から、藁を運んだ人物を割り出しました。管理職が部下の反発やいやがらせを受けたとき、感情で反応するのではなく、起きたことの痕跡を静かに調べることが、事態を収める近道になります。一度の対応で「欺けない上司」という信用を築けば、以後の統治も楽になります。
この章句が説くこと
稲芒廷掾死人守門人冷静威信
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