導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

智囊 / 得情・孫寶・李惠・游顯沿

孫寶為京兆尹,有賣饊者,今之餅也,於都市與一村民相逢,擊落皆碎,村民認賠五十枚,賣者堅稱三百枚,無以證明,公令別買一枚稱之,乃都秤碎者,細拆分兩,賣者乃服。魏李惠為雍州刺史,有負薪、負鹽者同弛擔憩樹陰。將行,爭一羊皮,各言藉背之物,惠曰:「此甚易辨。」乃令置羊皮於席上,以杖擊之,鹽屑出焉,負薪者乃服罪。江浙省游平章顯㳂,為政清明,有城中銀店失一蒲團,後於鄰家認得,鄰不服,爭詈不置,遊行馬至,問其故,歎曰:「一蒲團直幾何,失兩家之好,杖蒲團七十,棄之可也。」及杖,得銀星,遂罪其鄰。

新字:孫宝為京兆尹,有売饊者,今之餅也,於都市与一村民相逢,撃落皆砕,村民認賠五十枚,売者堅称三百枚,無以証明,公令別買一枚称之,乃都秤砕者,細拆分両,売者乃服。魏李恵為雍州刺史,有負薪、負塩者同弛担憩樹陰。将行,争一羊皮,各言藉背之物,恵曰:「此甚易弁。」乃令置羊皮於席上,以杖撃之,塩屑出焉,負薪者乃服罪。江浙省游平章顕㳂,為政清明,有城中銀店失一蒲団,後於鄰家認得,鄰不服,争詈不置,遊行馬至,問其故,嘆曰:「一蒲団直幾何,失両家之好,杖蒲団七十,棄之可也。」及杖,得銀星,遂罪其鄰。

書き下し

孫宝、京兆尹と為る。饊を売る者有り、今の餅なり。都市に於いて一村民と相逢い、擊ちて落とし皆砕く。村民は五十枚を賠するを認め、売る者は三百枚と堅く称して、以て証する無し。公、別に一枚を買いて之を称らしめ、乃ち砕けたる者を都べて秤り、細かに分両を拆かしむれば、売る者乃ち服す。魏の李恵、雍州刺史と為る。薪を負う者、塩を負う者有り、同じく擔を弛めて樹陰に憩う。将に行かんとして、一つの羊皮を争い、各おの背に藉く物と言う。恵曰く、「此れ甚だ弁じ易し」と。乃ち羊皮を席上に置かしめ、杖を以て之を擊てば、塩屑出ず。薪を負う者乃ち罪に服す。江浙省の游平章顕沿は、政を為すこと清明なり。城中の銀店に一つの蒲団を失う者有り、後に隣家に於いて認め得たるも、隣は服せず、争い詈りて置かず。遊、馬を行らせて至り、其の故を問い、歎じて曰く、「一蒲団の直は幾何ぞ、二家の好みを失う。蒲団を杖つこと七十、棄てて可なり」と。杖つに及びて銀星を得たり。遂に其の隣を罪す。

現代語訳

孫宝が京兆尹であったとき、饊(今でいう餅)を売る者が、都の市場で一人の村人と出会い、ぶつかって饊を落とし、すべて砕けてしまった。村人は五十枚を弁償すると認めたが、売り手は三百枚だと言い張り、証明する手立てがなかった。孫宝は別に一枚を買わせて重さを量り、砕けたものをまとめて秤にかけ、細かく計算させたところ、売り手は服した。魏の李恵が雍州刺史であったとき、薪を背負う者と塩を背負う者が、同じく荷を下ろして木陰で休んだ。出発しようとして、一枚の羊皮を取り合い、どちらも背に当てていた物だと言った。李恵は言った。「これはとても見分けやすい」。そこで羊皮を敷物の上に置かせ、杖で打つと、塩の粒が出てきた。薪を背負った者は罪に服した。江浙省の游平章顕沿は、政治が清く明らかであった。城中の銀細工の店で一つの蒲団がなくなり、後に隣家でそれを見つけたが、隣は認めず、言い争い罵ってやまなかった。游は馬を進めてやって来て、事情をたずね、嘆いて言った。「蒲団ひとつの値がいくらだというのだ、それで二家の仲を失うとは。蒲団を杖で七十回打って、捨ててしまえばよい」。杖で打つと銀の粒が出てきた。そこで隣を罪に問うた。

解説

三つの話は、言い分の応酬を離れて物そのものに語らせている点で共通します。重さの計算で水増しを暴き、羊皮から塩の粒を出し、蒲団から銀の粒を出す、という具合です。感情的な言い争いは、事実が確かめられる方法を考えると決着がつきます。職場でも、数字や現物で検証できる論点を見つけ、主張の応酬から証拠の確認へ話を移すと対立が静まります。游顕沿の捨ててよいという一言は、争いを大きくしないための芝居でもあり、場の収め方の巧みさも学べます。

この章句が説くこと

羊皮塩屑蒲団銀星現物で証す検証

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る