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智囊 / 經務・周忱

〔馮述評〕其後戶部言濟農餘米,失於稽考,奏遣曹屬,盡括餘米歸之於官。於是徵需雜然,而逋負日多。夫餘米備用,本以寬濟,一歸於官,官不益多而民遂無所恃矣。試思今日兩稅,耗果止十一乎?徵收只十五,十六乎?昔何以薄徵而有餘,今何以加派而不足,江南百姓安得不屍祝公而追思不置也。何良俊曰:「周文襄巡撫江南一十八年,常操一小舟,沿村逐巷,隨處詢訪。遇一村樸老農,則攜之與俱臥於榻下,咨以地方之事。民情土俗,無不週知。故定為論糧加耗之制,而以金花銀,粗細布,輕齎等項,裨補重額之田,斟酌損益,盡善盡美。顧文僖謂『循之則治,紊之則亂』,非虛語也。自歐石岡一變為論田加耗之法,遂虧損國課,遺禍無窮。有地方之責者,可無加意哉!」

新字:〔馮述評〕其後戸部言済農余米,失於稽考,奏遣曹属,尽括余米帰之於官。於是徴需雑然,而逋負日多。夫余米備用,本以寛済,一帰於官,官不益多而民遂無所恃矣。試思今日両税,耗果止十一乎?徴収只十五,十六乎?昔何以薄徴而有余,今何以加派而不足,江南百姓安得不屍祝公而追思不置也。何良俊曰:「周文襄巡撫江南一十八年,常操一小舟,沿村逐巷,随処詢訪。遇一村樸老農,則攜之与倶臥於榻下,咨以地方之事。民情土俗,無不週知。故定為論糧加耗之制,而以金花銀,粗細布,軽齎等項,裨補重額之田,斟酌損益,尽善尽美。顧文僖謂『循之則治,紊之則乱』,非虚語也。自欧石岡一変為論田加耗之法,遂虧損国課,遺禍無窮。有地方之責者,可無加意哉!」

書き下し

〔馮述評〕其の後、戸部、済農の余米は稽考を失うと言い、奏して曹属を遣わし、尽く余米を括りて之を官に帰せしむ。是に於いて徴需雑然として、逋負日に多し。夫れ余米は用に備え、本より寛済を以てす。一たび官に帰すれば、官は益す多からずして民は遂に恃む所無し。試みに思え、今日の両税、耗は果たして十一に止まるか。徴収は只だ十五、十六か。昔は何を以て薄く徴して余り有り、今は何を以て加派して足らざるか。江南の百姓、安んぞ公を屍祝して追思して置かざるを得んや。何良俊曰く、「周文襄、江南に巡撫たること一十八年、常に一小舟を操り、村に沿い巷を逐い、随処に詢訪す。一村の樸老の農に遇えば、則ち之を携えて与に倶に榻下に臥せしめ、地方の事を咨う。民情土俗、周知せざる無し。故に定めて論糧加耗の制を為し、而して金花銀、粗細布、軽齎等の項を以て、重額の田を裨補し、斟酌損益、善を尽くし美を尽くす。顧文僖謂う、『之に循えば則ち治まり、之を紊せば則ち乱る』と。虚言に非ざるなり。歐石岡の一変して論田加耗の法と為りてより、遂に国課を虧損し、遺禍窮まり無し。地方の責有る者は、意を加えざるべけんや」と。

現代語訳

〔馮述評〕その後、戸部が済農倉の余米は管理が杜撰だと言い、上奏して役人を派遣し、余米を全て集めて官のものにした。そこで徴収と要求が入り乱れ、滞納が日ごとに増えた。そもそも余米は必要に備え、もともとゆとりをもって救うためのものである。一度官に帰してしまえば、官は豊かにならず、民は頼るものを失った。今日の二季の税を考えてみよ。付加の耗は本当に十分の一にとどまっているか。徴収は十五分の一、十六分の一だけか。昔はなぜ薄く徴収して余りが出たのに、今はなぜ追加で割り当てても足りないのか。江南の百姓が、公を祭り、思い出して忘れないのも当然である。何良俊は言う。「周文襄は江南の巡撫を十八年務め、いつも小舟を操り、村をたどり路地を巡って、至る所で訪ね歩いた。ある村の素朴な老農に会えば、連れて一緒に寝台の下に寝て、地方の事柄を尋ねた。民情や土地の風俗で知らないものはなかった。それで、糧に応じて耗を加える制度を定め、金花銀、粗細の布、軽賽などの項目で、税額の重い田を補い、増減を斟酌して、善美を尽くした。顧文僖は『これに従えば治まり、乱せば乱れる』と言ったが、虚言ではない。歐石岡が改めて田に応じて耗を加える法に変えてから、国の税収を損ない、残した禍は尽きない。地方の責任ある者は、心を配らずにいられようか」。

解説

周忱が築いた余米の仕組みは、戸部が帳簿の不備を理由に全額を官に召し上げたことで、あっさり壊れました。余力を現場が自由に使える形で持っていたからこそ、薄い徴収でも回っていたのです。馮夢龍は、昔は薄く取って余り、今は加算しても足りないと対比します。また、周忱は自ら小舟で村々を回り、老農と寝床を並べて民情を聞き取っていました。現代の組織でも、本社が現場の積立を一律に吸い上げると、現場の機動力と信頼が失われます。制度を変える時は、その成り立ちを知る人の話を聞くのが先です。

この章句が説くこと

尽括余米論糧加耗循之則治紊之則乱現場主義財政制度変更の危うさ

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