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智囊 / 億中・曹彬

曹武惠王既下金陵,降後主,復遣還內治行。潘美憂其死,不能生致也,止之。王言:「吾適受降,見其臨渠猶顧左右扶而後過,必不然也。且彼有烈心,自當君臣同盡,必不生降;既降,又肯死乎?」或勸藝祖誅降王,入則變生。藝祖笑曰:「守千里之國,戰十萬之師,而為我擒,孤身遠客,能為變乎?」可謂君臣同智。

新字:曹武恵王既下金陵,降後主,復遣還内治行。潘美憂其死,不能生致也,止之。王言:「吾適受降,見其臨渠猶顧左右扶而後過,必不然也。且彼有烈心,自当君臣同尽,必不生降;既降,又肯死乎?」或勧芸祖誅降王,入則変生。芸祖笑曰:「守千里之国,戦十万之師,而為我擒,孤身遠客,能為変乎?」可謂君臣同智。

書き下し

曹武恵王、既に金陵を下し、後主を降す。復た遣わして内に還して行を治めしむ。潘美、其の死して生きながら致す能わざらんことを憂い、之を止む。王言う、「吾、適たま降を受くるに、其の渠に臨みて猶お左右を顧みて扶けられて而る後に過ぐるを見たり。必ず然らざるなり。且つ彼に烈心有らば、自ら当に君臣同じく尽くすべく、必ず生きて降らず。既に降れば、又た肯えて死せんや」と。或るひと藝祖に降王を誅せんことを勧む、入れば則ち変生ぜん、と。藝祖笑いて曰く、「千里の国を守り、十万の師を戦わせて、我が為に擒となり、孤身遠客、能く変を為さんや」と。君臣、智を同じくすと謂うべし。

現代語訳

曹彬(武恵王)は金陵を攻め落とし、後主(李煜)を降伏させた。その後、後主を宮中に戻して旅支度をさせることにした。潘美は後主が死んでしまい、生きたまま都へ送れなくなることを心配し、これを止めた。曹彬は言った。「私は降伏を受けたとき、後主が溝に臨むと、なお左右を見回して支えられてから渡るのを見た。死ぬはずがない。しかも彼に烈しい心があるなら、自然に君臣とともに国と運命を共にし、生きて降るはずがない。すでに降った以上、わざわざ死ぬだろうか」。ある人が太祖(藝祖)に、降伏した王を誅するよう勧めた。都に入れば変事が起きる、というのである。太祖は笑って言った。「千里の国を守り、十万の兵を戦わせながら、私の捕虜となり、一人で遠くから来た客となった者が、何の変を起こせようか」。君臣が知恵を同じくしていたというべきである。

解説

曹彬は、後主が溝を渡るのにも用心深く人に支えられる様子から、自ら命を絶つ覚悟のない人物だと見抜きました。太祖も、すべてを失い孤立した降伏者に反乱の力はないと判断して笑いました。ここで示されるのは、人の行動を観察して、恐れるべき危険と恐れなくてよい危険を切り分ける胆力です。過剰な警戒は、無用な処刑や対立を生みます。管理職にとって、不安に駆られて相手を追い詰める前に、実際の状況と相手の力量を冷静に見る重要さを教えます。馮夢龍は、君臣の判断が同じ冷静さだったと評します。細部の観察が、大きな決断の根拠になります。

この章句が説くこと

臨渠顧左右烈心君臣同智降王観察冷静

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