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智囊 / 知微・郗超

郗司空在北府,桓宣武忌其握兵。郗遣箋詣桓,子嘉賓出行於道上,聞之,急取箋視,「方欲共獎王室,修復園陵。」乃寸寸毀裂,歸更作箋,自陳老病不堪人間,欲乞閒地自養。桓得箋大喜,即轉郗公為會稽太守。〔馮述評〕超黨於桓,非肖子也,然為父畫免禍之策,不可謂非智。後超病將死,緘一篋文書,屬其家人:「父若哀痛,以此呈之。」父後哭超過哀,乃發篋睹稿,皆與桓謀逆語,怒曰:「死晚矣。」遂止。夫身死而猶能以術止父之哀,是亦智也。然人臣之義,則寧為愔之愚,勿為超之智。

新字:郗司空在北府,桓宣武忌其握兵。郗遣箋詣桓,子嘉賓出行於道上,聞之,急取箋視,「方欲共獎王室,修復園陵。」乃寸寸毀裂,帰更作箋,自陳老病不堪人間,欲乞閒地自養。桓得箋大喜,即転郗公為会稽太守。〔馮述評〕超党於桓,非肖子也,然為父画免禍之策,不可謂非智。後超病将死,緘一篋文書,属其家人:「父若哀痛,以此呈之。」父後哭超過哀,乃発篋睹稿,皆与桓謀逆語,怒曰:「死晩矣。」遂止。夫身死而猶能以術止父之哀,是亦智也。然人臣之義,則寧為愔之愚,勿為超之智。

書き下し

郗司空北府に在り、桓宣武其の兵を握るを忌む。郗、箋を遣わして桓に詣らしむ。子の嘉賓、道上に出行し、之を聞き、急ぎ箋を取りて視る。「方に共に王室を獎け、園陵を修復せんと欲す」と。乃ち寸寸に毀裂し、帰りて更に箋を作り、自ら老病にして人間に堪えざるを陳べ、閒地を乞いて自ら養わんと欲す。桓、箋を得て大いに喜び、即ち郗公を転じて会稽太守とす。〔馮述評〕超は桓に党し、肖子に非ず。然れども父の為に免禍の策を画す。智に非ずと謂うべからず。後に超病みて死せんとし、一篋の文書を緘して、其の家人に属して曰く、「父若し哀痛せば、此を以て之に呈せよ。」父は後に超を哭して哀に過ぐ。乃ち篋を発きて稿を睹るに、皆な桓と謀逆の語なり。怒りて曰く、「死すること晩し。」遂に止む。夫れ身死して猶お能く術を以て父の哀しみを止む。是れ亦た智なり。然れども人臣の義は、則ち寧ろ愔の愚を為すとも、超の智を為す勿れ。

現代語訳

郗愔(司空)が北府に鎮していたとき、桓温(宣武)はその兵権を握っていることを忌み嫌っていた。郗愔は書簡を桓温のもとへ届けさせた。子の郗超(嘉賓)が道中に出て行き、このことを聞き、急いで書簡を取って読んだ。そこには「ともに王室を助け、先帝の陵墓を修復したい」とあった。郗超はその書簡をずたずたに引き裂き、帰ってから新たに書簡を作り、自分は老いて病み、世間の務めに堪えられないので、閑職をいただいて養生したいと述べた。桓温は書簡を得て大いに喜び、すぐに郗愔を会稽太守に転任させた。〔馮夢龍の評〕郗超は桓温の一味であって、孝行な子とは言えない。しかし父のために禍を免れる策を立てた。智がないとは言えない。のちに郗超が病んで死のうとするとき、書簡の入った箱を封じて家の者に託して言った。「父上がもし悲しみに沈まれたら、これを差し上げなさい。」父はのちに郗超のために嘆き悲しみ、度を過ぎた。そこで箱を開けて草稿を見ると、すべて桓温と謀反を図る言葉であった。怒って言った。「死ぬのが遅かった。」ついに悲しみは止んだ。身が死んでもなお策をもって父の悲しみを止めたのである。これもまた智である。しかし臣下の義からいえば、郗愔のように愚かであっても、郗超のような智をもってはならない。

解説

息子が父の手紙を書き換え、権力者の警戒を解いて父の身を救った話です。組織の力関係を読み、相手の疑いを解く文面に変えて、相手の望む形、つまり兵権を手放して閑職に就く形に導きました。相手の不安の核心を見抜いて、その不安を取り除く提案をすれば、交渉は円滑に進みます。ただし馮夢龍は、郗超が桓温の党にいたことを問題視し、能力があっても義を欠けば称賛できないと評します。智と義を分けて考える視点は、現代の管理職にとっても重要です。自分の能力を何のために使うかが問われています。

この章句が説くこと

忌其握兵寸寸毀裂乞閒地自養相手の不安交渉術智と義

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