智囊 / 知微・衛姬・管仲・東郭垂
齊桓公朝而與管仲謀伐衛。退朝而入,衛姬望見君,下堂再拜,請衛君之罪。公問故,對曰:「妾望君之入也,足高氣強,有伐國之志也。見妾而色動,伐衛也!」明日君朝,揖管仲而進之。管仲曰:「君舍衛乎?」公曰:「仲父安識之?」管仲曰:「君之揖朝也恭,而言也徐,見臣而有慚色。臣是以知之。」
新字:斉桓公朝而与管仲謀伐衛。退朝而入,衛姫望見君,下堂再拝,請衛君之罪。公問故,対曰:「妾望君之入也,足高気強,有伐国之志也。見妾而色動,伐衛也!」明日君朝,揖管仲而進之。管仲曰:「君舎衛乎?」公曰:「仲父安識之?」管仲曰:「君之揖朝也恭,而言也徐,見臣而有慚色。臣是以知之。」
書き下し
斉の桓公は朝して管仲と衛を伐つことを謀った。朝を退いて入ると、衛姫は君を望み見て、堂を下りて再拝し、衛君の罪を請うた。公が故を問うと、対えて曰く、「妾は君の入るを望むに、足は高く気は強く、国を伐つ志が有りました。妾を見て色が動いたのは、衛を伐つからです」と。明日、君は朝し、管仲に揖して進めた。管仲は曰く、「君は衛を舎かれるのか」と。公は曰く、「仲父はどうしてこれを識るのか」と。管仲は曰く、「君の朝に揖するや恭しく、言は徐く、臣を見て慚色が有りました。臣はこれを以て知ったのです」と。
現代語訳
斉の桓公は朝廷で管仲と衛を攻める計画を相談した。朝廷を退いて奥へ入ると、衛の出身である姫が君主を見かけ、堂を降りて二度拝し、衛の君の罪を許してほしいと願い出た。桓公がその理由を尋ねると、答えた。「私が君主のお入りになるのを拝見しましたところ、足取りは高く気は強く、国を攻める意志がおありでした。私を見て顔色が変わられたのは、衛を攻めるからです」。翌日、桓公が朝廷に出て、管仲に会釈して進ませた。管仲は言った。「君主は衛を攻めるのをお止めになったのですか」。桓公は言った。「仲父はどうしてそれが分かるのか」。管仲は答えた。「君主が朝廷で会釈なさったときの態度は恭しく、言葉はゆったりとして、私を見て恥じるような顔色がありました。私はそれで分かったのです」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・應務・一葉を觀て樹の死生を知る一葉を觀て樹の死生を知り、一面を觀て人の病否を知り、一言を現て識の是非を知り、一事を現て心の邪正を知る。
-
人物志・八觀夫れ似たるを察して非なるを明らかにし、情の反を御するは、訟を理むるに似たる有り、其の実は別ち難きなり。
-
『鬼谷子』揣篇情を揣る者は、必ず其の甚だ喜ぶの時を以て、往きて其の欲を極む。其の欲有るや、其の情を隱す能わず。必ず其の甚だ懼るるの時を以て、往きて其の惡む所を極む。其の惡む有るや、其の情を隱す能わず。情欲は必ず其の變に出づ。
-
葉隠・聞書第十一敵城(てきじょう)の強弱見様、煙霞(えんか)春山を見るが如く、雨後晴天を見るが如しといえり。澄みわたるは弱なり。
-
『鬼谷子』反応篇古の大化する者は、乃ち無形と俱に生ず。反りて以て往を觀、覆して以て來を驗す。反りて以て古を知り、覆して以て今を知る。反りて以て彼を知り、覆して以て此を知る。動靜虛實の理、今に合わざれば、古に反りて之を求む。事に反りて覆を得る者有るは、聖人の意なり、察せざるべからず。
-
『鬼谷子』揣篇故に先王の道、聖智の謀有りと雖も、情を揣り隱匿するに非ざれば、之を索むる所無し。此れ謀の大本なり、而して說の法なり。常に人に事有り、人能く先んずる莫し。事に先んじて生ずるは、此れ最も爲し難し。故に曰く、情を揣るは最も守り司り難し。言は必ず其の謀慮に時するなり。故に蜎の飛び蠕の動くを觀るに、利害有らざる無し。以て事の美を生ずべし。事を生ずる者は、幾の勢なり。此れ情を揣り言を飾り、文章を成して而して後に之を論ず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る