智囊 / 知微・箕子
紂初立,始為象箸。箕子歎曰:「彼為象箸,必不盛以土簋,將作犀玉之杯。玉杯象箸,必不羹藜藿,衣短褐,而舍於茅茨之下,則錦衣九重,高台廣室。稱此以求,天下不足矣!遠方珍怪之物,輿馬宮室之漸,自此而始,故吾畏其卒也!」未幾,造鹿台,為瓊室玉門,狗馬奇物充牛刃其中,酒池肉林,宮中九市,而百姓皆叛。
新字:紂初立,始為象箸。箕子嘆曰:「彼為象箸,必不盛以土簋,将作犀玉之杯。玉杯象箸,必不羹藜藿,衣短褐,而舎於茅茨之下,則錦衣九重,高台広室。称此以求,天下不足矣!遠方珍怪之物,輿馬宮室之漸,自此而始,故吾畏其卒也!」未幾,造鹿台,為瓊室玉門,狗馬奇物充牛刃其中,酒池肉林,宮中九市,而百姓皆叛。
書き下し
紂が初めて立つと、始めて象箸を為った。箕子は歎じて曰く、「彼が象箸を為れば、必ず土の簋には盛らず、犀玉の杯を作るであろう。玉杯と象箸であれば、必ず藜藿を羹にせず、短褐を衣て、茅茨の下に舎ることをせず、則ち錦衣は九重、高台と広室となる。これに称うものを求めれば、天下も足りぬ。遠方の珍怪の物、輿馬宮室の漸は、これより始まる。ゆえに吾は其の卒りを畏れる」と。未だ幾くならずして、鹿台を造り、瓊室玉門を為り、狗馬奇物が牛刃の中に充ち、酒池肉林、宮中に九市を設け、而して百姓は皆叛いた。
現代語訳
紂王が即位したばかりの頃、初めて象牙の箸を作らせた。箕子は嘆いて言った。「彼が象牙の箸を作れば、必ず土の器には盛らず、犀の角や玉の杯を作るだろう。玉の杯と象牙の箸を使えば、必ず豆の葉の吸い物を飲まず、粗末な服を着て茅葺きの家に住むことをせず、錦の衣を幾重にも重ね、高い楼台と広い部屋を求めるだろう。それに釣り合うものを求めれば、天下でも足りない。遠方の珍しい品々や、車馬や宮殿の贅沢は、ここから始まる。だから私は、その行き着く先を恐れるのだ」。まもなく紂王は鹿台を築き、玉で飾った部屋と門を作り、犬馬や珍奇な品物が宮殿に満ち、酒を池にして肉を林のように掛け、宮中に九つの市場を開き、そして民はみな叛いた。
解説
この章句が説くこと
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『韓非子』二柄第七臣は官を越えて功有るを得ず、言を陳べて當らざるを得ず。官を越ゆれば則ち死し、當らざれば則ち罪せらる。
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