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智囊 / 迎刃・費宏・胡世寧

鑄印局額設大使,副使各一員,食糧儒士二名。及滿,將補投考者不下數千人,請托者半之,當事者每難處分。費宏為吏部尚書,於食糧二名外,預取聽缺者四人,習字者四人,擬次第補,度可逾十數年。由是投考及請托者皆絕跡。土官世及,輒轉展結勘,索賂土官,土官以故怨叛,輕中朝諸人。胡公世寧令土官生子,即聞府;子弟應世及者,年且十歲,朔望或有事調集,皆攜之見太守,太守為識年數狀貌。父兄有故,按籍為請官於朝。土官大悅服。〔馮述評〕不唯省臨時結勘之煩,且令土官從幼習太守之約束,而漸消其桀驁之氣,真良策也。

新字:鋳印局額設大使,副使各一員,食糧儒士二名。及満,将補投考者不下数千人,請托者半之,当事者毎難処分。費宏為吏部尚書,於食糧二名外,預取聴欠者四人,習字者四人,擬次第補,度可逾十数年。由是投考及請托者皆絶跡。土官世及,輒転展結勘,索賂土官,土官以故怨叛,軽中朝諸人。胡公世寧令土官生子,即聞府;子弟応世及者,年且十歳,朔望或有事調集,皆攜之見太守,太守為識年数状貌。父兄有故,按籍為請官於朝。土官大悦服。〔馮述評〕不唯省臨時結勘之煩,且令土官従幼習太守之約束,而漸消其桀驁之気,真良策也。

書き下し

鋳印局には額設の大使・副使が各一員、食糧の儒士が二名。任期が満ちると、補欠の投考を願う者は数千に下らず、請託する者がその半ばを占め、当事者は処置に難渋することが常であった。費宏は吏部尚書となると、食糧二名のほかに、あらかじめ欠を聴く者四人、習字の者四人を取り、次第に補う予定とし、十数年を越えると見積もった。これにより投考および請託の者は皆跡を絶った。土官の世及は、そのたびに転展して結勘し、土官に賂を索めたので、土官はこれを以て怨み叛き、中朝の諸人を軽んじた。胡公世寧は、土官に子が生まれれば、すぐ府に聞かせ、子弟で世及に当たる者が年十歳ばかりとなれば、朔望に事が有って調集するたびに、皆これを携えて太守に見えさせ、太守がその年数と状貌を識して書き付けた。父兄に故が有れば、籍に按じて朝に官を請う。土官は大いに悦服した。〔馮述評〕臨時の結勘の煩わしさを省くのみならず、土官に幼い頃から太守の約束に習わせ、次第にその桀驁の気を消す。まことに良策である。

現代語訳

鋳印局には定員として大使と副使が各一名、食糧支給の儒士が二名いた。任期が終わると、その補充を願い出て試験を受ける者が数千人を下らず、そのうち半分は伝手を頼む者で、担当者はいつもさばくのに困っていた。費宏は吏部尚書になると、食糧の二名のほかに、欠員を待つ者四人、習字の者四人をあらかじめ採用し、順に補充する予定にして、十数年を越える見込みを立てた。こうして試験を受ける者も伝手を頼む者もいなくなった。土官の世襲は、そのたびに何度も審査が繰り返され、賄賂を求められたので、土官は恨んで背き、中央の人々を軽んじていた。胡世寧は、土官に子が生まれたらすぐ府に届けさせ、世襲に当たる子弟が十歳ほどになれば、毎月の一日と十五日に何か用事で集められるたび、必ず連れて太守に会わせ、太守がその年齢と風貌を書き留めるようにした。父や兄に不幸があれば、その記録に従って朝廷に官職を請う。土官は大いに喜んで従った。〔馮夢龍の評〕その場その場の審査の煩わしさを省くだけでなく、土官の子に幼い頃から太守の規律に慣れさせ、次第に傲慢な気性を消していく。まことに良い策だ。

解説

費宏は欠員の補充を何年も先まで埋めてしまうことで、請託の余地そのものをなくしました。胡世寧は土官の子を幼いうちから登録し、太守との顔なじみにすることで、世襲のたびに生じる審査と賄賂の温床を断ちました。どちらも、問題が起きてから裁くのではなく、仕組みを先に整えて争いの芽を摘む知恵です。馮夢龍も、手間を省くだけでなく相手を穏やかに馴らす効用に言及しています。人事の透明化や後継者の早期育成など、現代の管理職にとっても、事前の制度設計が最も安上がりな危機管理だと気づかされる話です。

この章句が説くこと

預取聴欠者世及桀驁之気制度設計後継者育成公平

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