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塩鉄論 / 本議篇

大夫曰:「往者、郡國諸侯各以其方物貢輸、往來煩雜、物多苦惡、或不償其費。故郡國置輸官以相給運、而便遠方之貢、故曰均輸。開委府於京師、以籠貨物。賤即買、貴則賣。是以縣官不失實、商賈無所貿利、故曰平準。平準則民不失職、均輸則民齊勞逸。故平準、均輸、所以平萬物而便百姓、非開利孔而為民罪梯者也。」

新字:大夫曰:「往者、郡国諸侯各以其方物貢輸、往来煩雑、物多苦悪、或不償其費。故郡国置輸官以相給運、而便遠方之貢、故曰均輸。開委府於京師、以籠貨物。賤即買、貴則売。是以県官不失実、商賈無所貿利、故曰平準。平準則民不失職、均輸則民斉労逸。故平準、均輸、所以平万物而便百姓、非開利孔而為民罪梯者也。」

書き下し

大夫曰く、往者、郡國諸侯各々其の方物を以て貢輸す。往來煩雜にして、物は苦惡なること多く、或いは其の費を償わず。故に郡國に輸官を置きて以て相い給運せしめ、而して遠方の貢を便ず。故に均輸と曰う。委府を京師に開き、以て貨物を籠む。賤ければ即ち買い、貴ければ則ち賣る。是を以て縣官は實を失わず、商賈は貿利する所無し。故に平準と曰う。平準なれば則ち民は職を失わず、均輸なれば則ち民は勞逸を齊しくす。故に平準・均輸は、萬物を平らげて百姓を便ずる所以にして、利の孔を開きて民の罪の梯を爲す者に非ざるなり、と。

現代語訳

大夫は言った。「以前は、郡国や諸侯がそれぞれ地元の産物で貢納していた。行き来が煩雑で、物は粗悪なことが多く、輸送費に見合わないこともあった。だから郡国に輸送官を置いて互いに供給し運ばせ、遠方からの貢納を便利にした。だから均輸という。物資の府庫を都に開き、そこに貨物を集める。安ければ買い、高ければ売る。だから官は損をせず、商人は不当な利を得るところがない。だから平準という。平準であれば民は職を失わず、均輸であれば民は労苦と安楽が均等になる。だから平準と均輸は、万物の値を平らにして民を便利にするものであって、利の穴を開けて民が罪に至る梯子を架けるものではない」

解説

「賤ければ即ち買い、貴ければ則ち賣る」。国家が安いときに買い、高いときに売って価格を平らにする。現代の価格安定政策そのものです。理屈は完璧で、投機的な商人の利を奪い、民の職を守る。ここまで整った制度設計を紀元前に実施していたことに驚きます。ただし次の文学の反論が、その制度が現場でどう運用されているかを突く。制度の設計と運用の乖離という、あらゆる組織で起きる問題が、この一往復に凝縮されています。

この章句が説くこと

賤ければ即ち買い貴ければ則ち売る平準均輸制度設計効率公平

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