智囊 / 迎刃・主父偃・裴光庭
漢患諸侯強,主父偃謀令諸侯以私恩自裂地,分其子弟,而漢為定其封號;漢有厚恩而諸侯漸自分析弱小云。張說以大駕東巡,恐突厥乘間入寇,議加兵備邊,召兵部郎中裴光庭謀之。光庭曰:「封禪,告成功也,今將升中於天而戎狄是懼,非所以昭盛德也。」說曰:「如之何?」光庭曰:「四夷之中,突厥為大。比屢求和親,而朝廷羈縻未決許也。今遣一使,徵其大臣從封泰山,彼必欣然承命。突厥來,則戎狄君長無不皆來,可以偃旗臥鼓,高枕有餘矣。」說曰:「善!吾所不及。」即奏行之。遣使諭突厥,突厥乃遣大臣阿史德頡利發入貢,因扈從東巡。
新字:漢患諸侯強,主父偃謀令諸侯以私恩自裂地,分其子弟,而漢為定其封号;漢有厚恩而諸侯漸自分析弱小云。張説以大駕東巡,恐突厥乗間入寇,議加兵備辺,召兵部郎中裴光庭謀之。光庭曰:「封禅,告成功也,今将升中於天而戎狄是懼,非所以昭盛徳也。」説曰:「如之何?」光庭曰:「四夷之中,突厥為大。比屡求和親,而朝廷羈縻未決許也。今遣一使,徴其大臣従封泰山,彼必欣然承命。突厥来,則戎狄君長無不皆来,可以偃旗臥鼓,高枕有余矣。」説曰:「善!吾所不及。」即奏行之。遣使諭突厥,突厥乃遣大臣阿史徳頡利発入貢,因扈従東巡。
書き下し
漢は諸侯の強きを患い、主父偃は諸侯をして私恩を以て自ら地を裂き、其の子弟に分かたしめ、而して漢は為に其の封号を定むるを謀る。漢には厚恩有り、而して諸侯は漸く自ら分析して弱小なりと云う。張説、大駕の東巡するを以て、突厥の間に乗じて入寇せんことを恐れ、兵を加えて辺を備えんと議し、兵部郎中裴光庭を召して之を謀る。光庭曰く、「封禅は、功を成せるを告ぐるなり。今、将に中を天に升せんとして戎狄を是れ懼るるは、盛徳を昭らかにする所以に非ず」と。説曰く、「之を如何せん」と。光庭曰く、「四夷の中、突厥を大と為す。比ごろ屢ば和親を求むれども、朝廷は羈縻して未だ許さず。今、一使を遣わして、其の大臣を徴して泰山に封ずるに従わしめば、彼は必ず欣然として命を承けん。突厥来たれば、則ち戎狄の君長は皆来たらざる無く、旗を偃し鼓を臥せて、高枕して余り有る可し」と。説曰く、「善し。吾の及ばざる所なり」と。即ち奏して之を行う。使いを遣わして突厥を諭せば、突厥は乃ち大臣阿史徳頡利発を遣わして入貢し、因りて東巡に扈従す。
現代語訳
漢は諸侯の勢力が強いことを憂慮し、主父偃は、諸侯が自ら恩恵として領地を割き、その子弟に分け与えるようにさせ、漢はその分封の称号を定めてやることを提案した。漢には厚い恩恵があり、諸侯は次第に自分から領地を分けて弱小になったという。張説は、天子が東へ巡幸するのに際して、突厥がその隙に侵入することを心配し、兵を増やして辺境を守ることを議し、兵部郎中の裴光庭を召して相談した。光庭は言った。「封禅は、功績の成就を天に告げる儀式です。いま天に告げようとしながら異民族を恐れるのは、盛んな徳を明らかにする所以ではありません」。説は言った。「ではどうすればよいか」。光庭は言った。「四方の異民族の中で、突厥が最大です。最近たびたび和親を求めていますが、朝廷は繋ぎ止めるだけで未だ許していません。いま使者を一人遣わして、その大臣を呼び、泰山での封禅に随行させれば、彼らは必ず喜んで命を承けるでしょう。突厥が来れば、他の異民族の君長もみな来ないことはなく、旗を伏せ太鼓を置いて、枕を高くして余裕があるでしょう」。説は言った。「よろしい。私の及ばないところだ」。すぐに上奏して実行した。使者を遣わして突厥を諭すと、突厥はそこで大臣の阿史徳頡利発を遣わして入貢させ、そのまま巡幸の供に加わった。
解説
この章句が説くこと
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『新序』善謀第十孝武皇帝の時、中大夫主父偃策を爲して曰く、古の諸侯は百里に過ぎず。强弱の形制し易きなり。今諸侯或いは城を連ぬること數十、地方千里なり。緩やかなれば則ち驕り、淫亂を爲し易し。急なれば則ち其の强きに阻りて合從し、謀りて以て京師に逆らう。今法を以て之を割かば、即ち逆節萌起せん。前日の晁錯是れなり。今諸侯の子弟或いは十數なり。而して適嗣代わりて立つ。餘は骨肉なりと雖も尺地の封無し。則ち仁孝の道宣べられず。願わくは陛下諸侯をして推恩を得しめ、子弟に分かつに地を以てして之を侯とせよ。彼れ人人願う所を得たるを喜ばん。上は德を以て施し、實は其の國を封ず。而して稍ミ自ら消弱せん、と。是に於いて上其の計に從い、因りて馬及び弩を關して出づるを得ざらしめ、遊說の路を絶ち、諸侯に附益するの法を重くし、其の君を詿誤するの罪を急にす。諸侯王遂に以て弱く、而して合從の事絶えたり。主父偃の謀なり。
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史記 平津侯主父列伝今郡守の権は、特に六卿の重きのみに非ざるなり。地幾千里、特に閭巷の資のみに非ざるなり。甲兵器械、特に棘矜の用のみに非ざるなり。以て万世の変に遭はば、則ち称諱すべからざるなり。書天子に奏せられ、天子三人を召見し、謂ひて曰く、「公等皆安くにか在りし。何ぞ相見ることの晩きや」と。是に於て上乃ち主父偃・徐楽・厳安を拝して郎中と為す。偃数々見え、疏を上りて事を言ふ、詔して偃を拝して謁者と為し、遷して中大夫と為す。一歳中に偃を四遷す。偃上に説きて曰く、「古者諸侯は百里に過ぎず、彊弱の形制し易し。今諸侯或いは城を連ぬること数十、地方千里、緩なれば則ち驕奢にして淫乱を為し易く、急なれば則ち其の彊きを阻みて合従して以て京師に逆ふ。今法を以て之を割削せば、則ち逆節萌起す、前日の晁錯是れなり。今諸侯の子弟或いは十数、而して適嗣代はりて立ち、余は骨肉と雖も、尺寸の地の封無し、則ち仁孝の道宣べず。願はくは陛下諸侯をして恩を推して子弟に分かち、地を以て之を侯とするを得しめよ。彼人人願ふ所を得るを喜び、上は徳を以て施し、実は其の国を分かち、削らずして稍々弱からん」と。是に於て上其の計に従ふ。又上に説きて曰く、「茂陵初めて立つ、天下の豪桀并兼の家、衆を乱すの民、皆茂陵に徙すべし、内は京師を実たし、外は姦猾を銷す、此れ所謂誅せずして害除くなり」と。上又其の計に従ふ。衛皇后を尊立し、及び燕王定国の陰事を発するは、蓋し偃功有り。
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