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智囊 / 通簡・褚國祥

武進進士褚國祥,為湖州添設貳守,寬平簡易,清守不淄。北柵姚姓者,妻以久病亡,其父告婿毆死。公准其詞,不發行。下午,命駕北柵,眾役不知所之。突入姚姓家,妻尚未殮也,驗無毆死狀。呼告者薄責而釋之,不費一錢而訟已了矣。〔馮述評〕趙豫以緩,諸國祥以捷,其以安民為心一也。

新字:武進進士褚国祥,為湖州添設貳守,寛平簡易,清守不淄。北柵姚姓者,妻以久病亡,其父告婿殴死。公准其詞,不発行。下午,命駕北柵,衆役不知所之。突入姚姓家,妻尚未殮也,験無殴死状。呼告者薄責而釈之,不費一銭而訟已了矣。〔馮述評〕趙予以緩,諸国祥以捷,其以安民為心一也。

書き下し

武進の進士褚国祥、湖州の添設弐守と為り、寛平簡易にして、清守淄まず。北柵の姚姓なる者、妻は久病を以て亡くなり、其の父は婿が殴り死なせたりと告ぐ。公は其の詞を准し、発行せず。下午、駕を命じて北柵に至り、衆役は之く所を知らず。突として姚姓の家に入れば、妻は尚お未だ殮められず、験るに殴り死なせし状無し。告げし者を呼びて薄く責めて之を釈し、一銭も費やさずして訟已に了わる。〔馮述評〕趙豫は緩を以てし、褚国祥は捷を以てす。其の民を安んずるを心と為すこと一なり。

現代語訳

武進出身の進士、褚国祥は、湖州の副長官として新たに置かれた職に就いた。人柄は穏やかで飾り気がなく、清廉を守って汚れなかった。北柵の姚という者の妻が長患いで亡くなると、その父が、婿が殴り殺したと訴え出た。公は訴状を受理しながら、すぐには手続きを進めなかった。午後になって、車を用意させて北柵に向かったが、供の役人たちは行き先を知らなかった。公は突然姚の家に入った。妻の遺体はまだ納棺されておらず、調べると殴り殺された痕跡はなかった。訴えた者を呼んで軽く叱って放免し、一銭もかけずに訴訟は片づいた。〔馮述評〕趙豫は緩やかさで、褚国祥は素早さで事に当たった。民を安んずることを心としている点では同じである。

解説

訴えを受理しながら、役人にも行き先を告げず、遺体がまだ納棺されないうちに自ら現場へ突入した話です。証拠が消える前に、現物を見るという一点が決め手でした。訴状の言葉だけで調査班を組んで書面を往復させれば、時間も費用もかかり、遺体も傷みます。馮夢龍は、緩やかな趙豫と素早い褚国祥を並べ、どちらも民を安んずる心は同じだと評しています。緩急は手段であり、目的は揉め事を小さく収めることです。現代の管理職も、クレームや内部通報に、時間を置く場面と即座に現場へ行く場面を見分ける目が要ります。

この章句が説くこと

験無殴死状不費一銭而訟已了突入姚姓家現場主義初動緩急の見極め

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