智囊 / 通簡・郭子儀
魚朝恩陰使人發郭氏墓,盜未得。子儀自涇陽來朝,帝唁之,即號泣曰:「臣久主兵,不能禁士殘人之墓。人今亦發先臣墓,此天譴,非人患也!」朝恩又嘗修具邀公,或言將不利公,其下願裹甲以從。子儀不許,但以家僮數人往。朝恩曰:「何車騎之寡?」子儀告以所聞。朝恩惶恐曰:「非公長者,得無致疑。」〔馮述評〕精於黃老之術,雖朝恩亦不得不為盛德所化矣。子不幸而遇小人,切不可與一般見識。
新字:魚朝恩陰使人発郭氏墓,盗未得。子儀自涇陽来朝,帝唁之,即号泣曰:「臣久主兵,不能禁士残人之墓。人今亦発先臣墓,此天譴,非人患也!」朝恩又嘗修具邀公,或言将不利公,其下願裹甲以従。子儀不許,但以家僮数人往。朝恩曰:「何車騎之寡?」子儀告以所聞。朝恩惶恐曰:「非公長者,得無致疑。」〔馮述評〕精於黄老之術,雖朝恩亦不得不為盛徳所化矣。子不幸而遇小人,切不可与一般見識。
書き下し
魚朝恩は陰かに人をして郭氏の墓を発かしむるも、盗は未だ得られず。子儀は涇陽より来朝し、帝は之を唁す。即ち号泣して曰く、「臣は久しく兵を主とし、士の人の墓を殘うを禁ずる能わず。今、人も亦た先臣の墓を発く。此れ天の譴にして、人の患に非ざるなり」と。朝恩は又た嘗て具えを修めて公を邀え、或るひと将に公に利あらずと言う。其の下は甲を裹みて以て従わんことを願う。子儀は許さず、但だ家僮数人を以て往く。朝恩曰く、「何ぞ車騎の寡きや」と。子儀は聞く所を以て告ぐ。朝恩は惶恐して曰く、「公の長者に非ざれば、疑いを致す無きを得んや」と。〔馮述評〕黄老の術に精しく、朝恩と雖も亦た盛徳の化する所と為らざるを得ず。子は不幸にして小人に遇わば、切に与に一般の見識とすべからず。
現代語訳
魚朝恩はひそかに人に郭氏の墓を暴かせたが、犯人は捕まらなかった。子儀は涇陽から朝廷に来て、帝が見舞いの言葉をかけた。すると子儀は声をあげて泣きながら言った。「私は長く兵を率いておりながら、兵士が人の墓を荒らすのを禁じることができませんでした。いま、人もまた私の先祖の墓を暴きました。これは天の咎めであって、人の災いではありません」。朝恩はまた、ある時、宴席を設けて公を招いた。ある人が、公に不利なことがあるかもしれないと言った。公の部下は鎧を着込んで付き従うことを願った。子儀は許さず、ただ家の僮僕数人だけを連れて行った。朝恩は言った。「どうして供の者がそんなに少ないのか」。子儀は耳にしたことを告げた。朝恩は恐れ入って言った。「公が人格者でなければ、疑いを持たれずにはすまなかったでしょう」。〔馮夢龍の評〕黄老の術に精通しており、朝恩でさえ、盛んな徳に感化されないわけにはいかなかった。子が不運にも小人に出会ったら、決して同じ土俵で争ってはならない。
解説
この章句が説くこと
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『政談』諸役人器量の選別なる事御目付は殿中御史の職なり、非法をたゝすを当職とす、法式になれすしては叶はさることなり、当時は御老中若老中のつかひものゝやうになりたるは、若老中に下つかさなき故なり、寺社奉行は寺社のをさめを第一とし、出家社家等に不法なきやうに下知すること当職なるへし、左れは寺社の古実も達せすんはあるへからす、地方は算勘の職別の仔細なし、町奉行は町の治を第一とし、町方に悪人多く出て町中治まらすんは町奉行の越度たるへし、寺社奉行も地方奉行も町奉行も当時は公事を捌くことを重とする故、治めのかたをは誰心付く人なし、治め悪しきときはたれも悪事も上たことなく、公事のことは別に公事奉行を立てゝ法律に通達したる人を用ゆへし、斯の如く御役の筋皆各別にて器量の筋も変り有ることなるに、当時は御老中若老中寺社奉行の外は、皆大方は目付より立身することなる故、何れの役も目付の風なり、又勲階と云ふ事のなき故立身の筋大方極まりて、一役を十年も二十年も一代に勤むるやうにすること成りかたし、役々の器量を相応に撰む筋失行たり、
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