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竹馬抄 / 親の言葉を手本にする

一我身をはじめておもふに、おやの心をもどかしう敵をあざむくことのみ侍るなり、おろかなるおやといふとも其敵にしたがはゞまづ天道にはそむくべからず、まして十に八九はおやの詞は子の道理にかなふべきなり、わが身につみ知られ侍なり、いにしへもどかしうおしへをあざむく事のみ侍りしおやのこと葉はみな肝要にて侍るなり、他人のよきまねをせんよりはわろきおやのまねをすべきなり、さてこそ家の風をもつたへその人の跡ともいわるべけれ、

書き下し

一我身をはじめておもふに、おやの心をもどかしう敵をあざむくことのみ侍るなり、おろかなるおやといふとも其敵にしたがはゞまづ天道にはそむくべからず、まして十に八九はおやの詞は子の道理にかなふべきなり、わが身につみ知られ侍なり、いにしへもどかしうおしへをあざむく事のみ侍りしおやのこと葉はみな肝要にて侍るなり、他人のよきまねをせんよりはわろきおやのまねをすべきなり、さてこそ家の風をもつたへその人の跡ともいわるべけれ、

現代語訳

私自身を振り返っても、親の心をもどかしく思い、その教えに逆らうことばかりでした。愚かな親であっても、その意に従うなら、まず天の道に背くことはありません。まして十のうち八、九は、親の言葉が子の道理にかなっているもので、わが身に染みて知らされています。昔、もどかしく思い、教えに逆らってばかりいた親の言葉は、みな肝要なものでした。他人の良い行いを真似るよりも、悪い親の真似をすべきです。そうしてこそ家の風も伝わり、その人の跡継ぎとも言われるのです。

解説

義将は自らの経験から、若い頃にもどかしく思った親の言葉が、後に振り返ればみな肝要だったと述べます。他人の良い手本より、不出来な親でも親の真似をせよという言い方は極端ですが、家風を継ぐことを最優先に置く武家の考え方がうかがえます。現代では、先達の助言を反発の対象にしがちですが、後から価値に気づくことは多いものです。管理職は、部下が今は納得しなくても、伝えるべきことは理由とともに残し、後で効く言葉を意識して語ることが大切です。

この章句が説くこと

親の教え家風孝経験道理跡継ぎ

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