竹馬抄 / 人目なき所でも慎む
一人の立振舞べきやうにて、品の程もこゝろの底も見ゆるなれば、人目なきところにても垣壁を目と心得てうちとくまじきなり、まして人中の作法は一足にてもあだにふまず、一詞といふとも心淺やと人におもはるべからず、ただ色を好み花を心にかけたる人なりとも、心をばうるはしくまことしくもちて、そのうへに色花をそふべきなり、男女の中だにも實なきは志の色なきまゝに、□なくばかりのヿまれにこそ侍れ、
新字:一人の立振舞べきやうにて、品の程もこゝろの底も見ゆるなれば、人目なきところにても垣壁を目と心得てうちとくまじきなり、まして人中の作法は一足にてもあだにふまず、一詞といふとも心浅やと人におもはるべからず、ただ色を好み花を心にかけたる人なりとも、心をばうるはしくまことしくもちて、そのうへに色花をそふべきなり、男女の中だにも実なきは志の色なきまゝに、□なくばかりのヿまれにこそ侍れ、
書き下し
一人の立振舞べきやうにて、品の程もこゝろの底も見ゆるなれば、人目なきところにても垣壁を目と心得てうちとくまじきなり、まして人中の作法は一足にてもあだにふまず、一詞といふとも心淺やと人におもはるべからず、ただ色を好み花を心にかけたる人なりとも、心をばうるはしくまことしくもちて、そのうへに色花をそふべきなり、男女の中だにも實なきは志の色なきまゝに、□なくばかりのヿまれにこそ侍れ、
現代語訳
一人の立ち居振る舞いには、品格の程も心の底も見えるものですから、人目のない所でも、垣や壁を目と心得て、気を緩めてはいけません。まして人中での作法は、一足でもおろそかに踏まず、一言でも浅はかな心だと人に思われてはなりません。たとえ色を好み花に心を寄せる人であっても、心は端正で誠実に持ち、そのうえで色や花を添えるべきです。男女の仲でさえ、誠のない者は志の色がないので、(底本に判読できない字があります)ほどのことは、まれにしかありません。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『山鹿語類』士道・風度大丈夫婉にやさしく臘たけたらんは、柔弱に溺れて風度と云にはあらず。少しもつたなくいやしき質あらず、水精の瓶に秋水をたくはへ、白玉の盃に氷をのせたらん如く、聊もかくれたる処なき風情、是を大丈夫の風度といふべき也。是内にへつらふ処なく、外に屈すべき物なく、何くに行といへども、其気常に万物の上に伸びて、鳶飛て天にいたり、魚躍て淵に入り、月の梧桐にきたり、風の楊柳をさゝふに不殊。如此の風度を養ひ得ずしては、一塵にも不染の如ならんや。尤可慎也。
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