武士訓 / 卷五・第9段
勝負は竹をわるごとし。もとのかた一ふしわれば。すゑまでわるゝなり。軍書に破竹のいきほひとしるせり。左ありとてももと一ふしわりたるまゝにてやむれば。すゑはわれざるなり。これをとゞまるといひてきらへり。瞬目のたるみも有べからず。柔よく剛を制するの理をわきまふべし。しゐてつよからんと思へば。かへつてよはきことあり。われつよければ。かれも又つよし。
書き下し
勝負は竹をわるごとし。もとのかた一ふしわれば。すゑまでわるゝなり。軍書に破竹のいきほひとしるせり。左ありとてももと一ふしわりたるまゝにてやむれば。すゑはわれざるなり。これをとゞまるといひてきらへり。瞬目のたるみも有べからず。柔よく剛を制するの理をわきまふべし。しゐてつよからんと思へば。かへつてよはきことあり。われつよければ。かれも又つよし。
現代語訳
勝負は竹を割るようなものである。根元の一節を割れば、末まで割れる。軍書に「破竹の勢い」と記している。そうはいっても、根元の一節を割ったままで止めれば、末は割れない。これを「止まる」といって嫌う。瞬きほどのたるみもあってはならない。柔よく剛を制する理をわきまえよ。無理に強くあろうと思えば、かえって弱いことがある。われが強ければ、彼もまた強い。
解説
竹を割るように、最初の一節を割ったら一気に末まで割れ、と説く段です。破竹の勢いを例に、途中で止まると末は割れず、止まることを嫌うと言います。瞬きほどのたるみも許さないとする一方で、柔よく剛を制する理を忘れるなと言い、無理に強くあろうとするとかえって弱く、自分が強ければ相手も強く出ると続けます。勢いと柔らかさの両方を求めているところが肝心です。新規事業や改革でも、最初の一手を打って流れができたあとに手を緩めると、勢いが失われます。かといって力で押し切ろうとすれば反発を招くので、力みを抜いた持続が要になります。
この章句が説くこと
破竹の勢い止まる柔よく剛を制す勢い持続武士訓
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