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武士訓 / 卷五・第8段

勝負は石をもつて水をうつがごとくすべし。石をもつて石をうつがごとくすべからず。石をもつて水をうつとは。氣の位をもつて敵をとりひしぎて出しめざるをいふ。石をもつて石をうつとは。われも發しかれも發して對揚するをいふ。かく塲をあはせて後勝ことをもとむるは。愚にあらざればまどえり。

新字:勝負は石をもつて水をうつがごとくすべし。石をもつて石をうつがごとくすべからず。石をもつて水をうつとは。気の位をもつて敵をとりひしぎて出しめざるをいふ。石をもつて石をうつとは。われも発しかれも発して対揚するをいふ。かく塲をあはせて後勝ことをもとむるは。愚にあらざればまどえり。

書き下し

勝負は石をもつて水をうつがごとくすべし。石をもつて石をうつがごとくすべからず。石をもつて水をうつとは。氣の位をもつて敵をとりひしぎて出しめざるをいふ。石をもつて石をうつとは。われも發しかれも發して對揚するをいふ。かく塲をあはせて後勝ことをもとむるは。愚にあらざればまどえり。

現代語訳

勝負は、石で水を打つようにせよ。石で石を打つようにしてはならない。石で水を打つとは、気の位をもって敵を圧倒し、出させないことをいう。石で石を打つとは、われも発し彼も発して、向かい合うことをいう。このように場を合わせた後で勝つことを求めるのは、愚かでなければ迷っているのである。

解説

石で水を打つか、石で石を打つか、という比喩の段です。石で水を打つとは、気の位で敵を押さえ込み、相手に出させないこと。石で石を打つとは、互いに発して向かい合うことです。後者のように、対等にぶつかったあとで勝とうとするのは愚かか迷いだと断じます。正面衝突で消耗する前に、相手が動けない状況をつくる発想です。競合との価格競争のように、同じ土俵で力比べをすれば、互いに傷つきます。自社の強みで土俵そのものを選び、相手が真っ向勝負に持ち込めない状況をつくる戦い方は、現代の経営にも通じます。

この章句が説くこと

気の位石で水を打つ土俵先手消耗戦武士訓

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