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武士訓 / 卷四・第8段

わがあしき事をつぐる人あらば。拜してよろこぶべし。太公曰。女無明鏡。不知面精粗。士無良友。不知行歩虧踰とあるがごとし。およそ一箇のおくりものを得てだに。よろこんでむくひんことをおもふ。いはむや身をおさむるのたよりとなれることをや。其あやまちをきくことをいはば。身をほろぼすの大敵うちに有とわきまふべし。

新字:わがあしき事をつぐる人あらば。拝してよろこぶべし。太公曰。女無明鏡。不知面精粗。士無良友。不知行歩虧踰とあるがごとし。およそ一箇のおくりものを得てだに。よろこんでむくひんことをおもふ。いはむや身をおさむるのたよりとなれることをや。其あやまちをきくことをいはば。身をほろぼすの大敵うちに有とわきまふべし。

書き下し

わがあしき事をつぐる人あらば。拜してよろこぶべし。太公曰。女無明鏡。不知面精粗。士無良友。不知行歩虧踰とあるがごとし。およそ一箇のおくりものを得てだに。よろこんでむくひんことをおもふ。いはむや身をおさむるのたよりとなれることをや。其あやまちをきくことをいはば。身をほろぼすの大敵うちに有とわきまふべし。

現代語訳

自分の悪いところを告げてくれる人がいたら、拝んで喜ぶべきである。太公は言った。女に明鏡がなければ、顔の美醜が分からない。士に良い友がなければ、行いの欠けや行き過ぎが分からない、と。まさにそのとおりである。たった一つの贈り物をもらっても、喜んでお返しを考えるものだ。まして身を修める助けになることならなおさらである。過ちを聞くのを嫌うなら、身を滅ぼす大敵が内にあるのだと心得よ。

解説

自分の欠点を告げてくれる人を拝んで喜べ、と説く段です。鏡がなければ顔の良し悪しが分からないように、良い友がなければ行いの欠けが分からないという太公の言葉を引いています。贈り物でさえ喜んで返礼を思うのだから、身を修める助けになる忠告ならなおさらだ、という運びが分かりやすいところです。過ちを聞くのを嫌う心こそ身を滅ぼす大敵で、しかもそれは外ではなく内にあると言い切ります。立場が上がるほど、耳の痛い指摘をしてくれる人は減ります。指摘を受けたときの自分の反応が、周りの人が次も言ってくれるかを決めると考えて、受け止め方を整えておきたい段です。

この章句が説くこと

忠告諫言良友自省身を修める武士訓

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