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武士訓 / 卷四・第3段

俗間に人はつねの稽古によらず。心がけにもよらず。一心次第なり。仕合次第なりといひて。おのが無藝をおほひあやなすものあり。かゝる心は何によりて出るといふに。冥加につきたるよりおこれるなり。

新字:俗間に人はつねの稽古によらず。心がけにもよらず。一心次第なり。仕合次第なりといひて。おのが無芸をおほひあやなすものあり。かゝる心は何によりて出るといふに。冥加につきたるよりおこれるなり。

書き下し

俗間に人はつねの稽古によらず。心がけにもよらず。一心次第なり。仕合次第なりといひて。おのが無藝をおほひあやなすものあり。かゝる心は何によりて出るといふに。冥加につきたるよりおこれるなり。

現代語訳

世間では、人はふだんの稽古によるのではなく、心がけにもよらず、一心次第、巡り合わせ次第だと言って、自分の無芸を覆いごまかす者がいます。こうした心は何から出るのかといえば、冥加が尽きたことから起こるのです。

解説

この段は、稽古も心がけも関係ない、一心次第、巡り合わせ次第だと言って、自分の無芸をごまかす者を戒めます。著者はそういう心が出てくる原因を、冥加が尽きたことに見ています。冥加とは神仏の加護のことで、それが尽きた人の心の姿だという、手厳しい言い方です。前の段で頼光の鍛錬を述べたことと対にして読むと、備えを怠る言い訳を封じる意図が見えてきます。現代にも、運やタイミングのせいにして努力を語らない人はいます。結果を左右する要素の中で、自分が稽古でき、準備できる部分に目を向けているか、点検する言葉として響きます。

この章句が説くこと

稽古言い訳冥加一心次第備え武士訓

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