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武士訓 / 卷四・第1段

さふらひの出あひには。禮法たゞしくすべし。數年したしくまじはるとも。ことばをいやしくすべからず。ことばをいやしくすれば。奴僕の參會のごとし。かりそめのはなしにも。前後を勘辨し忠孝の沙汰。文武の吟味。あるひは古書に所載歴代の治亂興亡。かゝることは義にあたるか。あたらざるかなどゝ談ずべし。武士は。文武のほかの藝は。つたなくてもくるしからず。萬事をさし置て。まづ文武を講ずべし。

新字:さふらひの出あひには。礼法たゞしくすべし。数年したしくまじはるとも。ことばをいやしくすべからず。ことばをいやしくすれば。奴僕の参会のごとし。かりそめのはなしにも。前後を勘弁し忠孝の沙汰。文武の吟味。あるひは古書に所載歴代の治乱興亡。かゝることは義にあたるか。あたらざるかなどゝ談ずべし。武士は。文武のほかの芸は。つたなくてもくるしからず。万事をさし置て。まづ文武を講ずべし。

書き下し

さふらひの出あひには。禮法たゞしくすべし。數年したしくまじはるとも。ことばをいやしくすべからず。ことばをいやしくすれば。奴僕の參會のごとし。かりそめのはなしにも。前後を勘辨し忠孝の沙汰。文武の吟味。あるひは古書に所載歴代の治亂興亡。かゝることは義にあたるか。あたらざるかなどゝ談ずべし。武士は。文武のほかの藝は。つたなくてもくるしからず。萬事をさし置て。まづ文武を講ずべし。

現代語訳

侍が出会うときは、礼法を正しくしなさい。数年親しく交わっても、言葉を卑しくしてはなりません。言葉を卑しくすれば、奴僕の集まりのようになります。かりそめの話にも、前後を考え合わせ、忠孝の沙汰、文武の吟味、あるいは古書に載る歴代の治乱興亡など、こういうことは義に当たるか、当たらないかと談じなさい。武士は、文武のほかの芸は拙くても差し支えありません。万事をさし置いて、まず文武を講じなさい。

解説

ここから巻四に入り、侍の交わりが語られます。親しい間柄でも、礼法を正しくし、言葉を卑しくしてはならないとします。言葉が卑しくなれば奴僕の集まりと変わらないからです。話の中身も、忠孝や文武、古書にある治乱興亡といった事柄を、義に当たるかどうかで談じるよう勧めます。文武以外の芸は拙くてもよいと言い切る点には、当時の価値観がよく出ています。現代に引き寄せれば、気心の知れた同僚との会話でも、仕事の本質や判断の筋を語り合う習慣が、チームの質を高めます。雑談が愚痴や噂に流れがちなとき、一度は話題を引き戻す役を担えるかどうかが問われます。

この章句が説くこと

礼法言葉づかい文武交わり義武士訓

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