導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

武士訓 / 卷三・第12段

家はもらざればよし。壘はやぶれざればたれり。其餘の器物高直なるをもとめず。ありのかゝりにすべし。平生無用の事に米錢をついやさずして。不慮のときに及ても。ゆきあたりて難儀せざるやうに心得べし。むかし北條時賴母松下禪尼の。手づからさうじのやぶれをつくろひし。いと殊勝なり。儉約を用ることかくのごとくなるべし(俗間障子を反古にてはるものあり。これ不嗜なり。かならず反古をもちゆべからず。)

新字:家はもらざればよし。塁はやぶれざればたれり。其余の器物高直なるをもとめず。ありのかゝりにすべし。平生無用の事に米銭をついやさずして。不慮のときに及ても。ゆきあたりて難儀せざるやうに心得べし。むかし北条時頼母松下禅尼の。手づからさうじのやぶれをつくろひし。いと殊勝なり。倹約を用ることかくのごとくなるべし(俗間障子を反古にてはるものあり。これ不嗜なり。かならず反古をもちゆべからず。)

書き下し

家はもらざればよし。壘はやぶれざればたれり。其餘の器物高直なるをもとめず。ありのかゝりにすべし。平生無用の事に米錢をついやさずして。不慮のときに及ても。ゆきあたりて難儀せざるやうに心得べし。むかし北條時賴母松下禪尼の。手づからさうじのやぶれをつくろひし。いと殊勝なり。儉約を用ることかくのごとくなるべし(俗間障子を反古にてはるものあり。これ不嗜なり。かならず反古をもちゆべからず。)

現代語訳

家は雨漏りがしなければよく、塁は破れていなければ足ります。そのほかの器物も、高価なものを求めず、あるものをそのまま使うことです。ふだん無用なことに米や銭を費やさず、思いがけないときになっても、行き詰まって難儀しないよう心得なさい。昔、北条時頼の母、松下禅尼が自ら障子の破れを繕ったのは、まことに殊勝なことでした。倹約を用いるとは、このようにするものです。(世間には障子を反古紙で貼る者がいます。これは嗜みがありません。決して反古を使ってはなりません。)

解説

前の段を受けて、倹約を日々の暮らしに落とした段です。家も塁も、傷んでいなければ足り、器物も高価なものを求めずにあるものを使えと言います。目的は、ふだんの無駄を省いて、不慮のときに難儀しないよう備えることです。松下禅尼が自ら障子の破れを繕った話は、立場のある人が手間を惜しまない姿として挙げられます。割注では反古紙で障子を貼ることをいましめており、節約の中にも見苦しさを避ける矜持が見えます。仕事では、平時の余裕をどう作るかが、トラブルのときの対応力を決めます。備品や固定費を見直して余力を残すことは、判断の自由を守ることでもあります。

この章句が説くこと

倹約備え松下禅尼北条時頼障子武士訓

関連する章句

『人生の方程式』の表紙

人生を、一行の式にしてみた。

志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。

本の中身を見る
本2冊(人生の方程式・人生の教科書)+師導1か月=700円 本を見る