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武士訓 / 卷二・第7段

一條兼良公の說に。よき人をいはゞ。一には正直廉潔にして極眞なる人。二には奉公の忠節をいたし私をかへりみざる人。三には弓馬の道に達して心いさみある人。四には和漢の才藝ある人。これらを近付べし。よからぬ人をいはゞ。一には胡亂猛惡にして欲にふける人。二には不奉公にして人の非をあぐる人。三には武藝につたなく臆病なる人。四には狂言綺語をもつて人に笑るを面目とする人。これらをとをざくべし。

新字:一条兼良公の説に。よき人をいはゞ。一には正直廉潔にして極真なる人。二には奉公の忠節をいたし私をかへりみざる人。三には弓馬の道に達して心いさみある人。四には和漢の才芸ある人。これらを近付べし。よからぬ人をいはゞ。一には胡乱猛悪にして欲にふける人。二には不奉公にして人の非をあぐる人。三には武芸につたなく臆病なる人。四には狂言綺語をもつて人に笑るを面目とする人。これらをとをざくべし。

書き下し

一條兼良公の說に。よき人をいはゞ。一には正直廉潔にして極眞なる人。二には奉公の忠節をいたし私をかへりみざる人。三には弓馬の道に達して心いさみある人。四には和漢の才藝ある人。これらを近付べし。よからぬ人をいはゞ。一には胡亂猛惡にして欲にふける人。二には不奉公にして人の非をあぐる人。三には武藝につたなく臆病なる人。四には狂言綺語をもつて人に笑るを面目とする人。これらをとをざくべし。

現代語訳

一条兼良公の説に、よい人を挙げるなら、一には正直で廉潔、まことに極まった人。二には奉公の忠節を尽くして私を顧みない人。三には弓馬の道に達して勇気のある人。四には和漢の才芸のある人。こうした人に近づくべきです。よくない人を挙げるなら、一には粗暴で猛悪、欲にふける人。二には奉公をせず、人の非をあげつらう人。三には武芸が拙く臆病な人。四には戯れ言や飾った言葉で人に笑われることを面目とする人。こうした人は遠ざけるべきです。

解説

ここでは、一条兼良公の説として、近づくべき人と遠ざけるべき人が四つずつ示されます。近づくべきは、正直廉潔、私を顧みない忠節、勇気、教養を備えた人で、遠ざけるべきは、欲にふける人、人の非ばかり挙げる人、臆病な人、軽口で笑われることを誇る人です。整った対になっており、交わる相手が自分を形づくるという前の段の考えを受けています。今の職場でいえば、誰を相談相手にし、誰の意見を重く扱うかは、組織の空気に直結します。人の非ばかり挙げる者を重用していないか、正直な者が遠ざけられていないか、人事と日々の付き合いの両面から点検する材料になります。

この章句が説くこと

交わる相手正直廉潔近づく人遠ざける人人選武士訓

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