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文子 / 上仁

與兮其若冬涉大川者,不敢行也,猶兮其若畏四鄰者,恐四傷也,儼兮其若容者,謙恭敬也,渙兮其若冰之液者,不敢積藏也,敦兮其若樸者,不敢廉成也,混兮其若濁者,不敢明清也,廣兮其若谷者,不敢盛盈也,不敢行者,退不敢先也,恐自傷者,守柔弱不敢矜也,謙恭敬者,自卑下尊敬人也,不敢積藏者,自損弊不敢堅也,不敢廉成者,自虧缺不敢全也,不敢清明者,處濁辱而不敢新鮮也,不敢盛盈者,見不足而不敢自賢也。夫道,退故能先,守柔弱故能矜,自卑下故能高人,自損弊故實堅,自虧缺故盛全,處濁辱故新鮮,見不足故能賢,道無為而無不為也。

新字:与兮其若冬渉大川者,不敢行也,猶兮其若畏四鄰者,恐四傷也,儼兮其若容者,謙恭敬也,渙兮其若冰之液者,不敢積蔵也,敦兮其若樸者,不敢廉成也,混兮其若濁者,不敢明清也,広兮其若谷者,不敢盛盈也,不敢行者,退不敢先也,恐自傷者,守柔弱不敢矜也,謙恭敬者,自卑下尊敬人也,不敢積蔵者,自損弊不敢堅也,不敢廉成者,自虧欠不敢全也,不敢清明者,処濁辱而不敢新鮮也,不敢盛盈者,見不足而不敢自賢也。夫道,退故能先,守柔弱故能矜,自卑下故能高人,自損弊故実堅,自虧欠故盛全,処濁辱故新鮮,見不足故能賢,道無為而無不為也。

書き下し

与として其れ冬に大川を渉るが若しとは、敢えて行かざるなり。猶として其れ四隣を畏るるが若しとは、四つながら傷つくを恐るるなり。儼として其れ容の若しとは、謙りて恭敬するなり。渙として其れ冰の液くるが若しとは、敢えて積蔵せざるなり。敦として其れ樸の若しとは、敢えて廉成せざるなり。混として其れ濁れるが若しとは、敢えて明清ならざるなり。広として其れ谷の若しとは、敢えて盛盈せざるなり。敢えて行かずとは、退きて敢えて先んぜざるなり。自ら傷つくを恐ると者は、柔弱を守りて敢えて矜らざるなり。謙りて恭敬すとは、自ら卑下して人を尊敬するなり。敢えて積蔵せずとは、自ら損弊して敢えて堅からざるなり。敢えて廉成せずとは、自ら虧缺して敢えて全からざるなり。敢えて清明ならずとは、濁辱に処りて敢えて新鮮ならざるなり。敢えて盛盈せずとは、不足を見て敢えて自ら賢とせざるなり。夫れ道は、退くが故に能く先んじ、柔弱を守るが故に能く矜り、自ら卑下するが故に能く人に高く、自ら損弊するが故に実堅く、自ら虧缺するが故に盛全く、濁辱に処るが故に新鮮にして、不足を見るが故に能く賢なり。道は無為にして為さざる無きなり。

現代語訳

ためらうさまは冬に大川を渡るようである、とは、敢えて進まないことである。慎むさまは四方の隣国を畏れるようである、とは、四方から傷つくことを恐れることである。厳かなさまは客のようである、とは、へりくだって恭しく敬うことである。解けるさまは氷が溶けるようである、とは、敢えて蓄え隠さないことである。純朴なさまは丸太のようである、とは、敢えて角を立てて完成させないことである。混じるさまは濁った水のようである、とは、敢えて明るく澄まないことである。広いさまは谷のようである、とは、敢えて満ち溢れないことである。敢えて進まないとは、退いて先んじないことである。自ら傷つくことを恐れるとは、柔弱を守って敢えて誇らないことである。へりくだって恭しく敬うとは、自らを卑下して人を尊敬することである。敢えて蓄え隠さないとは、自ら傷み崩れて堅くあろうとしないことである。敢えて角を立てて完成させないとは、自ら欠けて全うしようとしないことである。敢えて明るく澄まないとは、濁りや恥辱に身を置いて新鮮であろうとしないことである。敢えて満ち溢れないとは、不足を見て自ら賢いとしないことである。そもそも道は、退くから先んじることができ、柔弱を守るから誇ることができ、自ら卑下するから人の上に立て、自ら崩れるから実が堅く、自ら欠けるから盛んで全く、濁辱に身を置くから新鮮であり、不足を見るから賢くなれる。道は無為にして為さざる無きなり。

解説

直前の章句で引いた『老子』第十五章の七つの比喩を、ここで一つずつ説明していきます。説明はどれも「敢えて〜せず」の形で、行く、積む、完成させる、澄ませる、満たす、といった動きを自ら抑える姿勢です。終わりの段で逆説が整理されます。「退くが故に能く先んじ」「自ら虧缺するが故に盛全く」。先に出よう、完全になろうとするほど、かえって持続しない、という含みです。成長を急ぐ組織にとって、あえて満たしきらない余白の意味を考えさせる文です。

この章句が説くこと

敢えて盛盈せざるなり退くが故に能く先んじ自ら虧欠するが故に盛全く不足を見るが故に能く賢なり謙虚余白

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