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文子 / 自然

是以離叛者寡,聽從者眾,若風之過蕭,忽然而感之,各以清濁應,物莫不就其所利,避其所害。是以鄰國相望,雞狗之音相聞,而足跡不接於諸侯之境,車軌不結於千里之外,皆安其居也。故亂國若盛,治國若虛,亡國若不足,存國若有餘。虛者,非無人也,各守其職也,盛者,非多人也,皆徼於未也,有餘者,非多財也,欲節事寡也,不足者,非無貨也,民鮮而費多也,故先王之法,非所作也,所因也,其禁誅,非所為也,所守也,上德之道也。

新字:是以離叛者寡,聴従者衆,若風之過蕭,忽然而感之,各以清濁応,物莫不就其所利,避其所害。是以鄰国相望,鶏狗之音相聞,而足跡不接於諸侯之境,車軌不結於千里之外,皆安其居也。故乱国若盛,治国若虚,亡国若不足,存国若有余。虚者,非無人也,各守其職也,盛者,非多人也,皆徼於未也,有余者,非多財也,欲節事寡也,不足者,非無貨也,民鮮而費多也,故先王之法,非所作也,所因也,其禁誅,非所為也,所守也,上徳之道也。

書き下し

是を以て離叛する者は寡く、聴従する者は衆く、風の蕭を過ぐるが若く、忽然として之に感じ、各おの清濁を以て応ず。物は其の利する所に就き、其の害する所を避けざるは莫し。是を以て隣国相い望み、鶏狗の音相い聞こゆるも、足跡は諸侯の境に接せず、車軌は千里の外に結ばず。皆な其の居に安んずればなり。故に乱国は盛んなるが若く、治国は虚なるが若く、亡国は足らざるが若く、存国は余り有るが若し。虚とは、人無きに非ず、各おの其の職を守るなり。盛とは、人多きに非ず、皆な末に徼むるなり。余り有りとは、財多きに非ず、欲節にして事寡きなり。足らずとは、貨無きに非ず、民鮮くして費多きなり。故に先王の法は、作る所に非ず、因る所なり。其の禁誅は、為す所に非ず、守る所なり。上徳の道なり。

現代語訳

こうして、背き離れる者は少なく、聴き従う者は多く、風が蕭の草原を過ぎるように、忽然とそれに感じて、それぞれの清濁に応じる。物はそれぞれの利するところに就き、害するところを避けないものはない。だから隣の国が互いに見え、鶏や犬の声が聞こえても、人の足跡は他国の境に接せず、車の轍は千里の外に連ならない。皆がその居所に安んじているからである。だから乱れた国は盛んに見え、治まった国は空っぽに見え、亡ぶ国は足りないように見え、存続する国は余りがあるように見える。空っぽとは人がいないのではなく、それぞれがその職を守っているのである。盛んとは人が多いのではなく、皆が末の利を求めているのである。余りがあるとは財が多いのではなく、欲が節度を保ち事が少ないのである。足りないとは物がないのではなく、民が少なくて費えが多いのである。だから先王の法は作ったものではなく、従ったものである。その禁令と誅罰は、新たに為したものではなく、守ったものである。これが上徳の道である。

解説

治まった国は空っぽに見え、乱れた国は盛んに見える、という逆説が眼目です。「虚とは、人無きに非ず、各おの其の職を守るなり」と説明が付き、静かさは人の少なさではなく、各自が持ち場を守っている状態だと言います。一方で盛んな国は、皆が末の利を求めて動き回っている状態だと見ます。会議が多く活発に見える職場が、実は落ち着きのない状態かもしれません。先王の法も「作る所に非ず、因る所なり」で、作為ではなく従うものだとします。

この章句が説くこと

治国は虚なるが若く各おの其の職を守るなり皆な其の居に安んずればなり静けさ職分因循

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