文子 / 上德
君子有酒,小人鞭缶,雖不可好,亦可以醜,人之性,便衣綿帛,或射之即被甲,為所不便,以得其便也。三十輻共一轂,各直一鑿,不得相入,猶人臣各守其職也。善用人者,若蚈之足,眾而不相害,若舌之與齒,堅柔相磨而不相敗。石生而堅,茞生而芳,少而有之,長而逾明。扶之與提,謝之與讓,得之與失,諾之與已,相去千里。再生者不獲,華太早者不須霜而落。汙其準,粉其顙,腐鼠在阼,燒薰於堂,入水而增濡,懷臭而求芳,雖善者不能為工。冬冰可折,夏木可結,時難得而易失。木方盛,終日采之而復生,秋風下霜,一夕而零。質的張而矢射集,林木茂而斧斤入,非或召之也,形勢之所致。乳犬之噬虎,伏雞之搏狸,恩之所加,不量其力。夫待利而登溺者,亦必以將利溺之矣,舟能浮能沈,愚者不知足焉。驥驅之不進,引之不止,人君不以取道里。
新字:君子有酒,小人鞭缶,雖不可好,亦可以醜,人之性,便衣綿帛,或射之即被甲,為所不便,以得其便也。三十輻共一轂,各直一鑿,不得相入,猶人臣各守其職也。善用人者,若蚈之足,衆而不相害,若舌之与歯,堅柔相磨而不相敗。石生而堅,茞生而芳,少而有之,長而逾明。扶之与提,謝之与譲,得之与失,諾之与已,相去千里。再生者不獲,華太早者不須霜而落。汚其準,粉其顙,腐鼠在阼,焼薫於堂,入水而增濡,懐臭而求芳,雖善者不能為工。冬冰可折,夏木可結,時難得而易失。木方盛,終日采之而復生,秋風下霜,一夕而零。質的張而矢射集,林木茂而斧斤入,非或召之也,形勢之所致。乳犬之噬虎,伏鶏之搏狸,恩之所加,不量其力。夫待利而登溺者,亦必以将利溺之矣,舟能浮能沈,愚者不知足焉。驥駆之不進,引之不止,人君不以取道里。
書き下し
君子に酒有れば、小人は缶を鞭つ。好む可からずと雖も、亦た醜しむ可し。人の性は、綿帛を衣るに便なり、或いは之を射れば則ち甲を被る。便ならざる所を為すは、以て其の便を得んとなり。三十輻、一轂を共にし、各々一鑿に直りて、相入るを得ざるは、猶お人臣の各々其の職を守るがごとし。善く人を用うる者は、蚈の足の若く、衆くして相害せず、舌と歯の若く、堅柔相磨して相敗らず。石は生まれながらにして堅く、茞は生まれながらにして芳し、少くして之有り、長じて逾々明らかなり。扶と提と、謝と譲と、得と失と、諾と已と、相去ること千里なり。再び生ずる者は獲られず、華太だ早き者は霜を須たずして落つ。其の準を汚し、其の顙に粉し、腐鼠を阼に置き、薫を堂に焼く。水に入りて濡るること増し、臭いを懐いて芳しきを求むれば、善き者と雖も工と為る能わず。冬の氷は折る可く、夏の木は結ぶ可し。時は得難くして失い易し。木方に盛んなれば、終日之を采りて復た生ず。秋風霜を下せば、一夕にして零つ。質的張りて矢射集まり、林木茂りて斧斤入る。或いは之を召すに非ず、形勢の致す所なり。乳犬の虎を噬み、伏鶏の狸を搏つは、恩の加わる所にして、其の力を量らず。夫れ利を待ちて溺るるを登る者は、亦た必ず将に利を以て之を溺れしめんとするなり。舟は能く浮き能く沈むも、愚者は足を知らず。驥は之を駆れども進まず、引けども止まらず、人君は以て道里を取らず。
現代語訳
君子に酒があれば、小人は素焼きの缶を叩く。好ましくはなくても、楽しむことはできる。人の本性は、綿や絹を着るのが楽だが、射られる場面では鎧を着る。楽でないことをするのは、楽を得るためである。三十本の輻が一つのこしきを共にし、それぞれが一つの穴に収まって、互いに入り込めないのは、臣下がそれぞれの職を守るのと同じである。人をうまく用いる者は、百足の足のようで、多くいても互いを害さず、舌と歯のようで、堅いものと柔らかいものが擦れ合っても互いを損なわない。石は生まれつき堅く、茞は生まれつき香り、小さいうちから備わり、長じてますますはっきりする。助けると提げる、断ると譲る、得ると失う、承諾と中止、これらは千里ほども違う。二度生えるものは取れず、花が早すぎるものは霜を待たずに落ちる。水準器を汚し、額に白粉を塗り、腐った鼠を階段に置き、香を堂で焚く。水に入って濡れを増し、臭いを抱いて香りを求めれば、善い者でも巧みにはなれない。冬の氷は折れても、夏の木は結べる。時は得がたく、失いやすい。木がまさに盛んなときは、一日中摘んでもまた生えるが、秋風が霜を降ろせば、一夜で落ちる。的が張られれば矢が集まり、林が茂れば斧が入る。誰かが呼んだのではなく、形勢がそうさせるのである。乳を飲ませている犬が虎に噛みつき、卵を抱く鶏が狸に打ちかかるのは、情愛の力で、自分の力を量らないからである。利を期待して溺れた者を助ける者は、必ず利をもって溺れさせようとする。舟は浮かびもし沈みもするが、愚かな者は足るを知らない。良馬は駆けても進まず、引いても止まらないなら、君主は道程を任せない。
解説
この章句が説くこと
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