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文子 / 道德

文子問曰:王道有幾?老子曰:一而已矣。文子曰:古有以道王者,有以兵王者,何其一也?曰:以道王者德也,以兵王者亦德也。用兵有五:有義兵,有應兵,有忿兵,有貪兵,有驕兵。誅暴救弱謂之義,敵來加己不得已而用之謂之應,爭小故不勝其心謂之忿,利人土地,欲人財貨謂之貪,恃其國家之大,矜其人民之眾,欲見賢於敵國者謂之驕。義兵王,應兵勝,恣兵敗,貪兵死,驕兵滅,此天道也。

新字:文子問曰:王道有幾?老子曰:一而已矣。文子曰:古有以道王者,有以兵王者,何其一也?曰:以道王者徳也,以兵王者亦徳也。用兵有五:有義兵,有応兵,有忿兵,有貪兵,有驕兵。誅暴救弱謂之義,敵来加己不得已而用之謂之応,争小故不勝其心謂之忿,利人土地,欲人財貨謂之貪,恃其国家之大,矜其人民之衆,欲見賢於敵国者謂之驕。義兵王,応兵勝,恣兵敗,貪兵死,驕兵滅,此天道也。

書き下し

文子問いて曰く、王道は幾有りや。老子曰く、一のみ。文子曰く、古に道を以て王たる者有り、兵を以て王たる者有り、何ぞ其れ一なるや。曰く、道を以て王たる者は徳なり、兵を以て王たる者も亦た徳なり。兵を用うるに五有り。義兵有り、応兵有り、忿兵有り、貪兵有り、驕兵有り。暴を誅し弱きを救う、之を義と謂う。敵来りて己に加え、已むを得ずして之を用う、之を応と謂う。小故を争いて其の心に勝えず、之を忿と謂う。人の土地を利し、人の財貨を欲す、之を貪と謂う。其の国家の大なるを恃み、其の人民の衆きを矜り、賢を敵国に見さんと欲す、之を驕と謂う。義兵は王たり、応兵は勝ち、恣兵は敗れ、貪兵は死し、驕兵は滅ぶ。此れ天道なり。

現代語訳

文子が問うた。王道にはいくつありますか。老子は言った。一つだけである。文子は言った。昔は道によって王となった者もあれば、兵によって王となった者もあります。どうして一つなのですか。老子は答えた。道によって王となった者は徳による。兵によって王となった者もまた徳による。兵を用いるのに五種類ある。義兵、応兵、忿兵、貪兵、驕兵である。暴虐を討ち弱い者を救うのを義という。敵が攻めてきて、やむを得ずこれを用いるのを応という。小さなことを争って気持ちを抑えきれないのを忿という。人の土地を利とし、人の財貨をほしがるのを貪という。自国の大きさを頼み、人民の多さを誇り、敵国に自分の優れていることを見せようとするのを驕という。義兵は王となり、応兵は勝ち、恣兵は敗れ、貪兵は死に、驕兵は滅ぶ。これが天道である。

解説

道で王となる者と、兵で王となる者は違うように見えるが、どちらも「徳」だと答える段です。分かれ目は兵の動機にあるとして、義・応・忿・貪・驕の五つに分類し、結果まで予告します。義兵は王となり、驕兵は滅ぶ。力を使う理由が、救うためか、守るためか、怒りか、欲か、見せたいだけか。事業の競争や値引き合戦、訴訟にも通じる問いです。とくに「賢を敵国に見さんと欲す」という驕の定義は、勝って優位を示したいだけの戦いを指していて、鋭い観察です。なお本文中の「恣兵」は、直前の忿兵の誤写とも考えられます。

この章句が説くこと

暴を誅し弱きを救う敵来りて己に加え已むを得ずして之を用う貪兵は死し驕兵は滅ぶ動機徳

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