文子 / 符言
老子曰:得萬人之兵,不如聞一言之當,得隋侯之珠,不如得事之所由,得和氏之璧,不如得事之所適。天下雖大,好用兵者亡,國雖安,好戰者危,故“小國寡民,使有阡陌之器而勿用。”
新字:老子曰:得万人之兵,不如聞一言之当,得隋侯之珠,不如得事之所由,得和氏之璧,不如得事之所適。天下雖大,好用兵者亡,国雖安,好戦者危,故“小国寡民,使有阡陌之器而勿用。”
書き下し
老子曰く、万人の兵を得るは、一言の当たるを聞くに如かず。隋侯の珠を得るは、事の由る所を得るに如かず。和氏の璧を得るは、事の適う所を得るに如かず。天下大なりと雖も、兵を用うるを好む者は亡び、国安しと雖も、戦いを好む者は危うし。故に「小国寡民、阡陌の器有らしめて用いず」と。
現代語訳
老子は言う。万人の兵を得るのは、的を射た一言を聞くことに及ばない。隋侯の珠を得るのは、事の由来を知ることに及ばない。和氏の璧を得るのは、事のふさわしいところを知ることに及ばない。天下が大きくても、兵を用いることを好む者は亡び、国が安らかでも、戦いを好む者は危うい。だから「小さな国で民が少なければ、多くの人を使う器があっても用いない」と。
解説
万の兵よりも一言、名宝の珠や璧よりも事の由来と適所、という三つの対比が並びます。いずれも、手元の量や価値よりも、判断の質を重んじる見方です。「事の由る所」「事の適う所」を知るとは、物事の筋道と、それが収まる場所を理解することだと読めます。兵力や資産が増えるほど、武力や投資に頼りたくなるものですが、的確な一言や状況把握のほうが成果を左右する、という指摘です。結びは老子の「小国寡民」の引用で、力を持っても使わない節度を示します。経営資源の多さと判断の質を比べる視点になります。
この章句が説くこと
万人の兵を得るは一言の当たるを聞くに如かず事の由る所を得るに如かず兵を用うるを好む者は亡び判断節度
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