文子 / 符言
老子曰:人有順逆之氣生於心,心治則氣順,心亂則氣逆,心之治亂在於道德,得道則心治,失道則心亂,心治則交讓,心亂則交爭,讓則有德,爭則生賊,有德則氣順,賊生則氣逆,氣順則自損以奉人,氣逆則損人以自奉,二氣者可道已而制也。天之道其猶響之報聲也,德積則福生,禍積則怨生,官敗於官茂,孝衰於妻子,患生於憂解,病甚於且瘉,故“慎終如始,無敗事也。”
新字:老子曰:人有順逆之気生於心,心治則気順,心乱則気逆,心之治乱在於道徳,得道則心治,失道則心乱,心治則交譲,心乱則交争,譲則有徳,争則生賊,有徳則気順,賊生則気逆,気順則自損以奉人,気逆則損人以自奉,二気者可道已而制也。天之道其猶響之報声也,徳積則福生,禍積則怨生,官敗於官茂,孝衰於妻子,患生於憂解,病甚於且瘉,故“慎終如始,無敗事也。”
書き下し
老子曰く、人に順逆の気有り、心に生ず。心治まれば則ち気順に、心乱るれば則ち気逆なり。心の治乱は道徳に在り、道を得れば則ち心治まり、道を失えば則ち心乱る。心治まれば則ち交ごも譲り、心乱るれば則ち交ごも争う。譲れば則ち徳有り、争えば則ち賊を生ず。徳有れば則ち気順に、賊生ずれば則ち気逆なり。気順なれば則ち自ら損して以て人に奉じ、気逆なれば則ち人を損して以て自ら奉ず。二気は道いて制す可きのみ。天の道は其れ猶お響の声に報ゆるがごとし。徳積めば福生じ、禍積めば怨み生ず。官は茂るに敗れ、孝は妻子に衰え、患いは憂い解くるに生じ、病は且に愈えんとするに甚だし。故に「終わりを慎むこと始めの如くすれば、事を敗ること無し」と。
現代語訳
老子は言う。人には順の気と逆の気があり、心に生じる。心が治まれば気は順になり、心が乱れれば気は逆になる。心の治乱は道徳にあり、道を得れば心は治まり、道を失えば心は乱れる。心が治まれば互いに譲り、心が乱れれば互いに争う。譲れば徳が生じ、争えば賊が生じる。徳があれば気は順になり、賊が生じれば気は逆になる。気が順なら自分を損なって人に尽くし、気が逆なら人を損なって自分に尽くす。この二つの気は、導いて制することができるだけである。天の道は、響きが声に応えるようなものである。徳が積めば福が生じ、禍いが積めば怨みが生じる。官は盛んなときに敗れ、孝は妻子ができて衰え、患いは憂いが解けたときに生じ、病は治りかけたときに悪くなる。だから「終わりを慎むことを始めのようにすれば、事を失敗することはない」と。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『春秋左氏伝』襄公十三年 譲は礼の主なり君子曰く、「讓は禮の主なり。范宣子讓りて、其の下皆讓る。欒黶汰(おご)ると為すも、敢へて違はず。晉國以て平らかにして、數世之に賴る。善に刑(のつと)ればなり。一人善に刑れば、百姓休和す。務めざるべけんや。書に曰く、『一人慶有れば、兆民之に賴る。其の寧きこと惟れ永し』と。其れ是の謂ひか。周の興るや、其の詩に曰く、『文王に儀刑すれば、萬邦孚を作す』と。善に刑るを言ふなり。其の衰ふるに及びてや、其の詩に曰く、『大夫均しからず、我事に從ひて獨り賢(らう)す』と。讓らざるを言ふなり。世の治まるや、君子は能を尚びて其の下に讓り、小人は農力して以て其の上に事ふ。是を以て上下禮有りて、讒慝黜遠せらる。爭はざるに由るなり。之を懿德と謂ふ。其の亂るるに及びてや、君子は其の功を稱して以て小人に加へ、小人は其の技を伐(ほこ)りて以て君子を馮(しの)ぐ。是を以て上下禮無く、亂虐並び生ず。善を爭ふに由るなり。之を昏德と謂ふ。國家の敝るるは、恆に必ず之に由る」と。
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『童子問』卷中世に応ずるの道を問ふ。曰く、譲に如くは莫し。譲は実徳なり。凡そ上を犯し勝つことを好み、人と争奪するは、皆譲を忘るるより生ず。故に一たび譲立ちて、衆徳聚まる。徒に世と乖戻せざるのみに非ず、事に応じ物に接するの間に於て、最も要道為り。人にして礼譲の心無ければ、則ち他の美有りと雖も、皆観るに足らず。故に天下譲より善きは莫く、譲を知らざるより不善なるは莫し。
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司馬法・天子之義上苟も善を伐(ほこ)らざれば、則ち驕らず。下苟も善を伐らざれば、必ず等を亡(な)くす。上下善を伐らざること此くの若きは、譲の至りなり。
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司馬法・天子之義上苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の過ちを悔ゆ。下苟も不善を以て己に在りとせば、必ず其の罪に遠ざかる。上下悪を分かつこと此くの若きは、譲の至りなり。
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司馬法・嚴位自ら子(よ)するに循わざるを以てし、賢を争うに以て為し、人其の心を説(よろこ)ばしめ、其の力を效(いた)す。
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『忍経』拔藩益地陳囂、民の紀伯と鄰を為す。伯夜竊かに囂の地を藩して自ら益す。囂之を見、伯の去るを伺ひて後、密かに其の藩一丈を拔き、地を以て伯に益す。伯之を覺り、慚惶して、自ら侵す所を還し、又卻くこと一丈。太守周府君、囂の德義を高しとし、石に刻みて其の閭を旌表し、號して「義里」と曰ふ。
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