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文子 / 精誠

文子曰:名可強立,功可強成。昔南榮疇恥聖道而獨亡於己,南見老子,受教一言,精神曉靈,屯閔脩達,勤苦十日不食,如享太牢,是以明照海內,名立後世,智略天地,察分秋毫,稱譽華語,至今不休,此謂名可強立也。故田者不強,囷倉不滿,官御不勵,誠心不精,將相不強,功烈不成,王侯懈怠,後世無名。至人潛行,譬猶雷霆之藏也,隨時而舉事,因資而立功,進退無難,無所不通。夫至人精誠內形,德流四方,見天下有利也,喜而不忘,天下有害也,憂若有喪。夫“憂民之憂者,民亦憂其憂,樂民之樂者,民亦樂其樂,故憂以天下,樂以天下,然而不王者,未之有也。”“聖人之法,始於不可見,終於不可及,處於不傾之地,積於不盡之倉,載於不竭之府。出令如流水之原,使民於不爭之官,開必得之門,不為不可成,不求不可得,不處不可久,不行不可復。”

新字:文子曰:名可強立,功可強成。昔南栄疇恥聖道而独亡於己,南見老子,受教一言,精神暁霊,屯閔脩達,勤苦十日不食,如享太牢,是以明照海内,名立後世,智略天地,察分秋毫,称誉華語,至今不休,此謂名可強立也。故田者不強,囷倉不満,官御不励,誠心不精,将相不強,功烈不成,王侯懈怠,後世無名。至人潜行,譬猶雷霆之蔵也,随時而舉事,因資而立功,進退無難,無所不通。夫至人精誠内形,徳流四方,見天下有利也,喜而不忘,天下有害也,憂若有喪。夫“憂民之憂者,民亦憂其憂,楽民之楽者,民亦楽其楽,故憂以天下,楽以天下,然而不王者,未之有也。”“聖人之法,始於不可見,終於不可及,処於不傾之地,積於不尽之倉,載於不竭之府。出令如流水之原,使民於不争之官,開必得之門,不為不可成,不求不可得,不処不可久,不行不可復。”

書き下し

文子曰く、名は強いて立つ可く、功は強いて成す可し。昔、南栄疇は聖道に恥じて独り己に亡きを恥じ、南のかた老子に見え、教えを一言受け、精神曉霊、屯閔脩達す。勤苦十日食らわざるも、太牢を享くるが如し。是を以て明は海内を照らし、名は後世に立つ。智略は天地、察は秋毫を分かち、称誉は華語、今に至るまで休まず。此れ名は強いて立つ可しと謂う。故に田者強めざれば囷倉満たず、官御励まざれば誠心精ならず、将相強めざれば功烈成らず、王侯懈怠すれば後世に名無し。至人は潜行すること、譬えば猶お雷霆の蔵するがごとし。時に随いて事を挙げ、資に因りて功を立て、進退難き無く、通ぜざる所無し。夫れ至人は精誠内に形われ、徳は四方に流る。天下に利有るを見れば、喜びて忘れず、天下に害有るを見れば、憂うること喪う有るが若し。夫れ「民の憂いを憂うる者は、民も亦た其の憂いを憂い、民の楽しみを楽しむ者は、民も亦た其の楽しみを楽しむ。故に憂うるに天下を以てし、楽しむに天下を以てして、然り而して王たらざる者は、未だ之有らず」。「聖人の法は、見る可からざるに始まり、及ぶ可からざるに終わる。不傾の地に処り、不尽の倉に積み、不竭の府に載す。令を出だすこと流水の原の如く、民をして不争の官に使い、必得の門を開く。為す可からざるを為さず、求む可からざるを求めず、久しかる可からざるに処らず、復す可からざるを行わず」。

現代語訳

文子は言った。名は努力して立てることができ、功も努力して成すことができる。昔、南栄疇は聖人の道を知らず、自分にそれが無いことを恥じて、南に老子を訪ね、教えを一言受けて、精神は明らかに霊妙になり、迷いが解けて通じた。十日間苦しみ食べずに励んだが、大牢の饗応を受けたようであった。こうして明は海内を照らし、名は後世に立った。智略は天地に及び、洞察は秋の毛の先まで分け、称賛の言葉は今に至るまで絶えない。これが、名は努力して立てられる、ということである。だから田を耕す者が努めなければ穀倉は満たず、官や御者が励まなければ誠の心は精密にならず、将相が努めなければ功績は成らず、王侯が怠れば後世に名が残らない。至人の行いは潜んで、たとえれば雷が蔵れているようである。時に従って事を行い、資するものに因って功を立て、進退に難がなく、通じないところがない。至人は精誠が内に表れ、徳が四方に流れる。天下に利があるのを見れば喜んで忘れず、天下に害があるのを見れば、何かを失ったかのように憂える。そもそも「民の憂いを憂う者は、民もその憂いを憂い、民の楽しみを楽しむ者は、民もその楽しみを楽しむ。だから天下とともに憂い、天下とともに楽しんで、それで王たらなかった者は、いまだかつていない」。「聖人の法は、見えないところに始まり、及ばないところに終わる。傾かない地に立ち、尽きない倉に積み、涸れない府に載せる。令を出すことは流水の源のようで、民を争わない官に就かせ、必ず得られる門を開く。できないことをせず、求められないことを求めず、長続きしないところに居らず、取り返しのつかないことをしない」。

解説

ここでは老子でなく、文子が語り手です。名と功は強いて立て、成すことができる、と努力を肯定する点が、ここまでの無為の勧めと対照的です。南栄疇の話は、一言の教えを受け、十日食を断ち励んだ末に名が立った、と述べる例で、努力が空しいとは言っていません。引用される「憂民之憂」の句は、民の憂いを自分の憂いとする者が王になる、という趣旨です。実務では、無為の姿勢と、努力して成すこととを、どう両立させるかが問われます。聖人の法の結びに並ぶ四つの「せず」が、努力の方向を決める基準になります。

この章句が説くこと

名は強いて立つ可く民も亦た其の憂いを憂い為す可からざるを為さず努力共感名

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