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文子 / 精誠

老子曰:聖人之從事也,所由異路而同歸,存亡定傾若一,志不忘乎欲利人也。故秦楚燕魏之歌,異傳而皆樂,九夷八狄之哭,異聲而皆哀。夫歌者樂之微,哭者哀之效也,愔於中,發於外,故在所以感之矣。聖人之心,日夜不忘乎欲利人,其澤之所及亦遠矣。

新字:老子曰:聖人之従事也,所由異路而同帰,存亡定傾若一,志不忘乎欲利人也。故秦楚燕魏之歌,異伝而皆楽,九夷八狄之哭,異声而皆哀。夫歌者楽之微,哭者哀之効也,愔於中,発於外,故在所以感之矣。聖人之心,日夜不忘乎欲利人,其沢之所及亦遠矣。

書き下し

老子曰く、聖人の事に従うや、由る所は路を異にして帰を同じくし、存亡定傾は一の若し。志は人を利せんと欲するを忘れざればなり。故に秦楚燕魏の歌は、伝を異にして皆楽しく、九夷八狄の哭は、声を異にして皆哀し。夫れ歌は楽の微なるもの、哭は哀の効なり。中に愔しみ、外に発す。故に之を感ぜしむる所以に在り。聖人の心は、日夜人を利せんと欲するを忘れず。其の沢の及ぶ所も亦た遠し。

現代語訳

老子は言った。聖人が事に従うとき、通る道は異なっても行き着くところは同じで、滅びを存続させ傾いたものを定めることは同じである。それは、志が人を利することを忘れないからである。秦・楚・燕・魏の歌は、伝わり方が違っても皆が楽しく、東夷・北狄などの泣き声は、声が違っても皆が悲しい。歌は楽しみのかすかなあらわれ、泣き声は悲しみのしるしである。内に思いを満たして、外に発する。だから人を感じさせる理由は、そこにある。聖人の心は、昼も夜も人を利することを忘れない。その恵みの及ぶ範囲も遠い。

解説

歌も泣き声も、土地によって調子が違っても、楽しさと悲しさは共通して伝わる、という例から、聖人が行く道は違っても志が同じならば同じところに着く、と述べる段です。要点は、人を動かすのは形式でなく内側の思いだ、という点。やり方は部署や相手によって異なってよく、志が共通であればよい、という運営の指針にも読めます。標準化を進めるときに、手順を揃えることばかりに力を入れ、何のためかの共有を忘れると、形だけが残ります。志が「人を利せんと欲す」という一点で貫かれているかが問われます。

この章句が説くこと

路を異にして帰を同じくし志は人を利せんと欲するを忘れざればなり故に之を感ぜしむる所以に在り志共感多様性

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