文子 / 精誠
老子曰:精神越於外,智慮蕩於內者,不能治形,神之所用者遠,則所遺者近。故“不出於戶以知天下,不窺於牖以知天道,其出彌遠,其知彌少。”此言精誠發於內,神氣動於天也。
新字:老子曰:精神越於外,智慮蕩於内者,不能治形,神之所用者遠,則所遺者近。故“不出於戸以知天下,不窺於牖以知天道,其出弥遠,其知弥少。”此言精誠発於内,神気動於天也。
書き下し
老子曰く、精神外に越れ、智慮内に蕩く者は、形を治むる能わず。神の用うる所遠ければ、則ち遺す所近し。故に「戸を出でずして以て天下を知り、牖を窺わずして以て天道を知る。其の出ずること彌いよ遠ければ、其の知ること彌いよ少なし」と。此れ精誠内に発し、神気天に動くを言うなり。
現代語訳
老子は言った。精神が外に溢れ、思慮が内で揺れ動く者は、身体を整えることができない。精神の使うところが遠ければ、遺してしまうところは近い。だから「戸口を出なくても天下を知り、窓から窺わなくても天の道を知る。外に出ることが遠くなるほど、知ることは少なくなる」と言う。これは精誠が内に発し、神気が天に動くことをいうのである。
解説
『老子』四十七章を引いて、遠くに気を散らすほど足元が見えなくなる、と述べる短い段です。「神の用うる所遠ければ、則ち遺す所近し」。視察や情報収集で外に向かう時間が増えるほど、身近な部下の様子や自分の体調を取りこぼす、という警告に読めます。ここでの「知る」は外へ出て得る情報でなく、内から発する精誠が天に通じる、という意味へ向けられています。外の事情を知ることを否定するのでなく、自分の内を整えることが前提になる、という順序の指摘でしょう。
この章句が説くこと
神の用うる所遠ければ戸を出でずして以て天下を知り其の出ずること弥いよ遠ければ足元内省精誠
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