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武教小学 / 衣食居

耻惡衣惡食。求居安。則非志士。(論語曰。士志於道。而耻惡衣惡食者。未與足議也。又曰。君子食無求飽。居無求安。)衣食及居各有分。三者出其位。則度量相違。而費多財竭。而不克成武備。三者不及。則志必在客嗇。而又不正。能守其節。是士之用法也。凡士之衣服有分。唯以稱武備爲用。長短縫裁皆有則。食者以麁糲爲用。唯欲與士卒同滋味而已。(三略曰。昔者良將之用兵。有饋簞醪者。使投諸河。與士卒同流而飲。夫一簞之醪。不能味一河之水。而三軍之士。思爲致死者。以滋味之及已也。)然氣質病多。脾胃不調和之士。又可有養身全生。而守死於全道之量。(言七十者。可以食肉。是年老而非肉不飽也。人生氣之所稟。有厚薄。雖爲年若。其脾胃同七十。則麁糲之食不足用。)室宅必以輕薄爲用。(無費敝之飾。)居安室美。則志在思家。是非志士之意。家宅之廣狹用所。尤可守武式。傳曰。帝堯之王天下之時。錦繡文綺不衣。宮垣屋宅不堊。甍桷橡楹不劉。茅茨偏庭不剪。鹿裘禦寒。布衣掩形。糲粱之飯。藜藿之羹。不以役作之故。害民耕織之時。削心約志。從事乎無爲。云云。

新字:耻悪衣悪食。求居安。則非志士。(論語曰。士志於道。而耻悪衣悪食者。未与足議也。又曰。君子食無求飽。居無求安。)衣食及居各有分。三者出其位。則度量相違。而費多財竭。而不克成武備。三者不及。則志必在客嗇。而又不正。能守其節。是士之用法也。凡士之衣服有分。唯以称武備為用。長短縫裁皆有則。食者以麁糲為用。唯欲与士卒同滋味而已。(三略曰。昔者良将之用兵。有饋箪醪者。使投諸河。与士卒同流而飲。夫一箪之醪。不能味一河之水。而三軍之士。思為致死者。以滋味之及已也。)然気質病多。脾胃不調和之士。又可有養身全生。而守死於全道之量。(言七十者。可以食肉。是年老而非肉不飽也。人生気之所稟。有厚薄。雖為年若。其脾胃同七十。則麁糲之食不足用。)室宅必以軽薄為用。(無費敝之飾。)居安室美。則志在思家。是非志士之意。家宅之広狭用所。尤可守武式。伝曰。帝堯之王天下之時。錦繍文綺不衣。宮垣屋宅不堊。甍桷橡楹不劉。茅茨偏庭不剪。鹿裘禦寒。布衣掩形。糲粱之飯。藜藿之羹。不以役作之故。害民耕織之時。削心約志。従事乎無為。云云。

書き下し

悪衣悪食を恥じ、居の安きを求むるは、則ち志士に非ず。(論語に曰く、士道に志して、悪衣悪食を恥ずる者は、未だ与に議るに足らず、と。又曰く、君子は食に飽くを求むること無く、居に安きを求むること無し、と。)衣食及び居には各々分有り。三者其の位を出づれば、則ち度量相違い、費え多く財竭きて、武備を成すこと克わず。三者及ばざれば、則ち志必ず吝嗇に在りて、又正しからず。能く其の節を守るは、是れ士の用法なり。凡そ士の衣服には分有り、唯武備に称うを以て用と為し、長短縫裁皆則有り。食は麁糲を以て用と為し、唯士卒と滋味を同じくせんと欲するのみ。(三略に曰く、昔者良将の兵を用うるや、簞醪を饋る者有れば、諸を河に投ぜしめ、士卒と流れを同じくして飲む。夫れ一簞の醪、一河の水を味わわしむる能わず。而れども三軍の士、死を致さんと思う者は、滋味の己に及ぶを以てなり、と。)然れども気質病多く、脾胃調和せざるの士は、又身を養い生を全うして、死を全道に守るの量有るべし。(七十なる者は以て肉を食すべしと言う。是れ年老いて肉に非ざれば飽かざるなり。人生気の稟くる所、厚薄有り。年若しと雖も、其の脾胃七十に同じければ、則ち麁糲の食は用に足らず。)室宅は必ず軽薄を以て用と為す。(費敝の飾り無し。)居安く室美なれば、則ち志家を思うに在り。是れ志士の意に非ず。家宅の広狭用所、尤も武式を守るべし。伝に曰く、帝堯の天下に王たる時、錦繍文綺を衣ず、宮垣屋宅堊せず、甍桷椽楹劉らず、茅茨偏庭剪らず、鹿裘寒を禦ぎ、布衣形を掩い、糲粱の飯、藜藿の羹、役作の故を以て民の耕織の時を害せず、心を削り志を約し、無為に従事す、云云、と。

現代語訳

粗末な衣服や食事を恥じ、住まいの安楽を求めるのは、志ある士ではありません。(注:『論語』に「士が道に志しながら、粗末な衣服や食事を恥じるような者とは、まだ共に語り合うに足りない」とあります。また「君子は食事に満腹を求めず、住まいに安楽を求めない」ともあります。)衣・食・住にはそれぞれ分があります。三つが分を超えれば、度量が合わなくなり、費用がかさんで財が尽き、武の備えを成し遂げることができません。三つが足りなければ、志はけちくさくなり、これもまた正しくありません。節度をよく守ることが士の用い方です。士の衣服には分があり、ただ武の備えにかなうことを用とし、長さも縫い方も皆決まりがあります。食事は粗い穀物を用とし、ただ士卒と同じ味を共にしたいと考えるだけです。(注:『三略』には「昔の良将が兵を用いたとき、一椀の濁り酒を贈る者があった。将はそれを河に注がせ、兵と共に流れを飲んだ。一椀の酒では河の水に味をつけることはできないが、全軍の士が死力を尽くそうとしたのは、うまい味が自分たちにも及んだからである」とあります。)ただし、体質が病気がちで、胃腸の調子が整わない士は、身を養い生を全うして、命を全うした道に守る度量があってよいでしょう。(注:七十歳の人は肉を食べてよいと言いますが、これは年を取って肉でなければ満たされないからです。人の生まれつきの気の厚さ薄さはさまざまで、年は若くても胃腸が七十歳の人と同じなら、粗食では足りません。)住まいは必ず簡素で軽いものを用とします。(注:費えを傷める飾りは作らないということです。)住まいが安らかで部屋が美しければ、志は家のことを思うことに傾きます。これは志士の心ではありません。家の広さや用途も、特に武士の式を守るべきです。伝に言います。帝堯が天下に王であったとき、錦や模様の入った絹は着ず、宮の垣根や家屋は白く塗らず、屋根の垂木や柱は削り整えず、茅の屋根や庭の草は刈りそろえず、鹿の皮衣で寒さを防ぎ、布の衣で体を覆い、粗い飯と豆の葉の吸い物で暮らし、土木工事のために民の耕作や機織りの時間を損なわず、心を削り志を絞って、無為に従事した、などとあります。

解説

衣食居の章は、粗末な衣食や不便な住まいを恥じる者は志士ではない、と『論語』を引いて始まります。素行は、衣食居それぞれに分があり、分を超えれば財が尽きて武備が成らず、足りなければ吝嗇に傾いて志が正しくならないとして、節度を守ることを士の用い方とします。服は武備に合うことを、食は兵と同じ味を、住まいは簡素なことを基準にし、『三略』の良将が酒を河に注いだ話や、堯の質素な暮らしが例として添えられます。一方で、体質上粗食が合わない人への配慮も明記され、一律の我慢を求めているわけではありません。現代でも、経営者や管理職の生活の贅沢が、部下の信頼や会社の財を左右します。身の回りの水準を自分の役割に合わせて整えることが、組織の士気につながります。

この章句が説くこと

衣食居分節度質素倹約武教小学

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